約 3,643,060 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/371.html
アメリカ、コロ○ド州ウィラ○ッテ。 人口53594人。 特産物特になし。 目立つのは大きなショッピングモールのみ。 この何の変哲も無い街が突如として厳重な情報規制の下、完全に封鎖された。 やぁ、俺はフランク。 フリーのジャーナリストさ。 この街ははじめて来るんだが、なにやらスキャンダルの匂いがする。 ということで、ヘリをチャーターして空から侵入する事にしたんだ。 ギャグが好きなパイロットのおっさんと軽い談笑をしながら街の様子をフィルムに収めようとしたとき、俺は唖然とした。 なぜかって? そりゃそうさ、生首が跳び回ってるんだぜ? 「おい、なんだあれは……」 さっきまでつまらんギャグを抜かしていたパイロットのおっさんもちらちらと街に目をやる。 俺はとっさにカメラを構えてズームした。 すると、タクシーの上に一人の人間らしき物体が必死で生首を振り払う。 息を呑んで写真を撮っていると、ついに生首が人間のズボンの裾をひっぱり、地面に引きずり降ろした。 そこに群がるようにして生首がジャンプする。 そこから先は見ていない、たぶん人間は死んでいるだろう。 「おい、あそこもだぜ!」 おっさんが指差した方向をみると、工場か何かの屋上に、女性らしき物体が生首に囲まれていた。 逃げ道をさがして走り出すが、その行く手を生首にさえぎられてしまう。 ついに逃げ場をなくした女性、どうするのか見守りながらカメラを構える。 「なんてこった」 俺は思わず声を漏らす。 逃げ場がなくなり追い詰められた彼女は、なんと屋上から飛び降りたのだ。 あの高さなら多分死ぬか重度の骨折だろう。 たとえ骨折だけだったとしても、生首に襲われてしまう。 その時、このヘリと似た音が背後から鳴り響いた。 「ヘイ!軍隊さんのおでましだ!」 おっさんが慌てて操縦するため、俺は危うく振り落とされそうになる。 「どうする!?」 「……、あそこに降ろしてくれ」 俺が指差したのはショッピングモールの屋上だった。 「正気か!?」 「いいから、72時間後に迎えに来てくれ」 結局、俺は屋上に飛び降り、ヘリを見送った。 たぶん、あのおっさんなら大丈夫だろう。 俺はズボンについた土ぼこりを払い、立ち上がると目の前にプレスリーみたいな服を着た男が立っていた。 「その目で確かめるがいい。ここは、地獄だ」 そう言って立ち去ってしまった。 よく分からないがここが安全な場所ではない事くらいは知っている。 大丈夫、なんとかなるさ……。 ■■■ 一日目。 ショッピングモール入り口に行ってみると、そこは生存者達が多数いた。 モール内の店からありったけのものを取り出し、生首が入ってこないようにバリケードを作っている。 俺はその様子もカメラに収めた。 「ゆっくりしていってね!」 そとからはそう聞こえる。 意味不明だ。 「ねぇあなた、私の愛犬のマドンナちゃんを見なかったかしら?」 カメラで撮影していると、変なおばさんが俺に話し掛けてきた。 「いや……」 「そう」 残念そうな顔をすると、再び愛犬とやらの捜索にでかけた。 そういやモールの奥に行こうとしたらシャッターがかけられていて中にいたじいさんに怒られた。 その時。 「おい婆さんなにしてる!」 振り返ると、あの時のおばさんがバリケードを放り投げて出口へ向かっていた。 バリケードがなくなったことによって少し扉が開く。 「ゆっ!とびらがひらくよ!」 「もうすこしだね!」 なんかよく分からんがこいつらはとにかく中に入りたいらしい。 「マドンナちゃん!」 おばさんはそんな事気にせずに出口に突っ込む。 どうやら愛犬がみつかったらしい。 外に。 「やめろって言ってんだ、おい!」 周りの生存者の制止を無視しておばさんは扉を開けてしまう。 「ひらいたよ!」 「おばさんありがとう! ゆっくりしんでね!」 ゆっくりゆっくり五月蝿いのでとりあえずあの生首はゆっくりと名づける事にした。 出口がゆっくりで埋め尽くされて行く。 逃げ惑う人々、俺はそれを写真で撮る事を忘れない。 「こっちだ!」 階段越しに黒人の男が俺に叫んだ。 しかし、目の前はゆっくりだらけ。 下手をすれば押しつぶされるかもしれない。 「だぁらっしゃあああああああああああああああああっ!!」 俺は意を決してゆっくりに突っ込む。 「ぶぎゅっ!」 「ゆ゛っぐべぇ!」 「どお゛じでぞん゛な゛ごどばぎょうげおあうあぐおあ!」 五月蝿いがとりあえず踏み潰して走る。 ぶちゅぶちゅつぶすたびに悲鳴を上げるので、ちょっと俺のサディスティックな面が出てきた。 「おらおらおらおら!」 プロレスでいうスタンピングでゆっくりを捻りつぶす。 「ゆ゛ぐえ゛ぁっ!」 目玉を飛び出し、中身が飛び出た。 思わず口に入ってしまい、あわてて吐き出そうとする。 が、 「あ、あめぇ~~っ」 思わずうまさにうっとりしてしまう。 「おいこらなにやってんだ」 黒人に正気に戻されて俺は慌てて階段を上った。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 ゆっくり達はモール内を行進する。 圧倒的な量に思わず俺は息を飲んだ。 「ほら、こっちだ!」 黒人は俺をひっぱり、俺はカメラを撮りながら引きずられていった。 男にひきずられて来たところは警備室だった。 ダクトなどが入れ込み、そう簡単にゆっくりたちが入れないようなつくりになっていた。 まぁここからは説明が面倒なのですっ飛ばす。 とりあえず黒人のほかにプロポーションの良いナイスバディな女と少ない生存者がいた。 んで俺は他の生存者を助けに行くことになった。 ダクトをこじあけて。 もちろんだがナイスバディな女はカメラに収めた。 オー、ファンタスティック! ■■■ 一日目のお昼くらい。 あらためてモールに来ると、ものすごい事になっていた。 なんというか、一面ゆっくり。 「ゆっくりしていってね!」 「うん、ゆっくりするよ!」 「ゆっくりだね、わかるよ、わかるよー」 「ちーんぽ!」 あと、うっさい。 おばさん教師が怒って叫んだときみたいに耳がキンキンする。 俺はとりあえず生存者をさがす。 「おじさん? おじさんはゆっくりできる人?」 オジサン? オジサンってなんだ、英語でおk。 ゆっくり、と名づけたのはこいつ等が共通(一部除く)して叫んでいるからだが、ほかの言葉は何を言っているか分からない。 ニュアンス的には日本語かなにかだろうか。 「何を言ってるんだお前等」 一応言葉は通じるらしく、俺の言葉に首(というか体)をかしげた。 「おじさんなにいってるかわからないよ!」 「わからないおじさんはでていってね!」 飛び跳ねて俺にアタックを仕掛けてくる。 大してダメージは無かったが、他のゆっくりたちも襲ってきた。 「しね! ゆっくりしね!」 ちりも積もればなんとやらで、こいつらが集まるととてつもなく熱い。 以前ハチは敵を倒すためにおしくらまんじゅうをすると聞いた事があるが、その類だろうか。 見た目が饅頭だしたぶんそうだろう。 「うるせえええええっ!」 俺は体を回転させてゆっくりたちを吹き飛ばす。 「ゆ゛っ!」 「ゆ゛う゛うううっ!」 吹き飛ばされたゆっくりは壁に当たって破裂した。 中から黒っぽいものが溢れている。 「どお゛じでごん゛だごどずる゛の゛! お゛じざん゛どばゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛!」 仲間がやられたのを見ると、皆だみ声になって俺に叫ぶ。 非難されているのだろうか。 あとで外国語わかる奴に聞くか。 「スタンピーンッグ!」 「ゆぶぁ!」 「わ゛がっ」 俺はとりあえず回りのゆっくりを踏み潰してから捜索に戻った。 お、生存者一名はっけーん。 なんだ、子供か。 よく生きていたなと思いながらも近づく。 「お譲ちゃん、ここは危ないからちょっとおじさんと一緒に来てくれないかな」 なんか言ってて犯罪者まがいのことを言ってる気がしたが気にしない。 「うー?」 振り返ると俺はおもわず飛び退いた。 体があるのに顔はあのゆっくりたちと似ている。 違うのは羽が生えてるのと体があるところか。 「お、お譲ちゃん、お名前は?」 恐る恐る話し掛けてみると、そいつは胸の辺りに手を置いて名乗った。 「れみ、りあ、うー☆」 うー、の部分で俺に手を差し伸べる。 相当電波入っているな、親が薬でもやっていたのだろうか。 とりあえず俺はその子の手を掴んだ。 「や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ごわ゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!」 いきなり泣き叫ぶ。 また外国語かよ。 「うっせ、こいつうっせ!」 この声に気づいてゆっくりが来てしまうかもしれない。 この時を俺はまず彼女を落ち着かせる事を考えたよ。 「ちょっとだまるんだ!」 ぱちん、と軽くはたく。 パニックを起こしてる人間にはこれがちょうど良い。 だが、俺はこいつを『人間』と認識してる自体が間違いだった。 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 さらに大きな声を上げて喚きたてる。 俺は必死になってそいつをなだめる。 「ご、ごめん! 頼むから泣かないでくれ」 「ぶぁーが! ざぐや゛に゛い゛づげでや゛る゛!」 だみ声になって俺を指差し、負け惜しみのような事を言う。 そのだみ声になってようやく俺はこいつがゆっくり種の一匹だという事に気づいた。 「くそっ!」 さっきからまともに取り合ってた自分が少し恥ずかしくなり、そばにあったマネキンの足で殴りつける。 「びゃびっ!」 奇妙な音を立ててそいつの額が割れる。 だが、そこから流れるのは血ではなく肉汁だった。 とりあえずそれを写真に撮る。(パーフェクツ!) いちいちそいつと呼ぶのも面倒なのでさっき自分から名乗っていた……たしかれみりゃだったかな? そう呼ぶ事にした。 「このっ! おらっ!」 「びっ! ざっ! っぐ! う゛!」 叩くたびに声をあげ、それが弱くなる。 そのとき、ふと俺の頭にあることが浮かんだ。 (こいつ……さっき肉汁を飛ばしたよな?) 頭から覗かせている肉の塊を指で救ってみる。 「い゛ぐっ」 びくりと体を震わせたが、それっきり動かない。 俺は恐る恐るそれを口に含んだ。 「oh...yeah!」 自然と体力が上がった気がする。 こいつは意外といける。 ゆっくり達は強暴だが、食料としては使えるかもしれない。 ついでなので、れみりゃの頭を食った時の瞬間を写真に収めた。(エクセレン!) 俺は、れみりゃがいた店をでて捜索を再開する。 しばらく歩いていると、ガンショップを見つけた。 その店の周りにゆっくりたちが興味心身に見ている。 扉は鍵がかかっているらしく、ゆっくりたちは入れない。 どうやら知能はあまり無いようだ。 俺はゆっくりを蹴散らして店をノックする。 「おじさんなにするの! ゆっくりできないならどっかいってね!」 何か言ってるが無視をする。 すると、店の奥のカウンターからおっさんが一人顔を出した。 「ヘイ! 俺はあんたを助けに……」 次の瞬間、おっさんが銃を構えたので俺は急いで飛び退いた。 逆に、ちょうど俺に飛びかかろうとしたゆっくりが、銃の餌食となった。 「ゆ゛べえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!!」 一瞬で体中穴だらけになり、ゆっくりは中身をぶちまけながら吹っ飛んだ。 「お゛があ゛ざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!」 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」 物陰から小さなゆっくりたちがそのゆっくりに近づく。 もしかしてこいつは小さい奴の親なのだろうか。 だとしたらこいつらは今も繁殖しているのか。 「ここから出て行け! もう誰も信じられるか!」 「おいおい、落ち着いてくれ。 俺がこいつらにみえるか?」 問答無用で銃声が返ってくる。 慌てて避けたが、ショットガンの散弾が俺の頬を掠めて赤い線を作った。 それより後ろの小さなゆっくり達のほうが被害がすさまじい。 「ぎゅえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!」 「お゛ね゛え゛え゛え゛え゛え゛ぢゃあ゛あ゛あ゛あ゛ん゛!」 出口に近かった子ゆっくりが、もろに散弾を浴びて砕け散る。 それを見て涙をながしながら生き残った方が擦り寄った。 (涙出るんだなこいつら) とりあえず物陰に隠れて泣いてるゆっくりの写真を撮る。(グーッド) しかたなく、俺はおっさんを倒す事にした。 俺はちいさなゆっくりを捕まえる。 「お、おじさんなにするの!?」 何か叫んでいるが意味がわからないので無視。 俺はそれを思い切りカウンターへ投げ込んだ。 「!!」 とっさの反応でおっさんはゆっくりを撃ち抜く。 「ゆ゛っぐり゛っ!!」 その隙を狙って俺は店内に入り、おっさんを蹴り飛ばす。 吹っ飛ばされたおっさんは、当たり所が悪かったのか気絶してしまった。 俺はとりあえずライフルと拳銃を手に入れ、弾薬をポケットにありったけ詰め込む。 ちなみに拳銃はシグザウエルP226だ。 ライフルは古風なガーランド、大戦中のライフルだ。 他にも銃は欲しかったが、あまり贅沢はできないので他の生存者のためにハンドガンをもう一丁持って店を出た。 「う……うう……」 ガンショップの店主が目を覚ます。 店は荒らされたままで、窓が砕け散っていた。 フランクの姿はない。 「ちくしょうめ、今度あったら……ん?」 不意に、足元に異様な感触を味わう。 下を見れば、ゆっくりの死体が苦悶の表情で踏み潰されていた。 「うわぁ!」 慌てて飛び退けると、勢い余ってしりもちを付く。 その時、店主の目の前にゆっくり達が姿を現した。 皆怒ったように膨れている。 「おじさんはわるいひとだよ!」 「ゆっくりをいじめたおじさんはわるいひと!」 「わるいひとだね! わかるよわかるよー!」 「ぢーんぽっ!」 群れているゆっくりを見て、慌てて店主は銃を取ろうとするが、ゆっくりのタックルで地面に叩きつけられる。 さらにその上にゆっくりたちが乗っかり、仲間を呼ぶ。 するとさらに廊下から大量のゆっくりたちが集まり、店主の上に乗っかった。 「う、うあああっ……!」 べち。 情けない音と共に、店主は圧死した。 餡子を大量に含んだ体を膨らませることによって、ゆっくりの体重は桁外れに上がるのだ。 そしてそれを隠れてみていたフランクはそっと写真を撮った。(ファーンタスティック!) ゆっくりデッドライジング2
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5159.html
精神的にゆっくりをいじめたい話 (なまぬるいよ!) 「はい!今日は待ちに待ったれみりゃの特別な日です!」 「うーっ♪」 「何の日かわかるかなぁー!?」 「う?うーうー!」 「人の言葉を喋れよ豚まん!」 ドゲシッ 「うえええええん!!!」 「あ、泣いてしまった。まあいいか、エムっけあるしこいつ」 やあ。僕は虐待お兄さん。 エムっけのあるれみりゃを飼っているよ! 今日はゆっくりを精神的にいじめるトレーニングをしよう! 虐待お兄さんたるもの、トレーニングはかかさないよ! じゃあ、一つ目いってみようか! このトレーニングでは、れみりゃと、適当なれいむやまりさを使うよ!飼っているれみりゃに協力してもらうことにしよう! さて、今回使うれいむとまりさは、番だけども、 このまりさ、一度試したことがあるからわかるけど、れみりゃに襲われたりしたら番を見捨てちゃうんだ! 前のお嫁さんはそれで死んじゃったんだよねー。 じゃあ、早速虐待部屋にれいむとまりさを放そう! 虐待部屋はバカがつくほど広いんだ。虐待お兄さんたるもの、虐待ビデオでお金を稼いだりもするから虐待部屋は広くて損はないよ! 「ゆゆっ?おにーさん!なにここ?ゆっくりできるの?」 「ゆっくりできるんだぜ?」 「ゆっくりできるよ。ほら、草もいっぱい生えてるし、ちょうどいい洞穴だってあるよ。ほら、あっちに」 「ゆゆ!!まりさたちはここをゆっくりプレイスにするんだぜ!!」 どうやら気に入ってもらえたらしい。 虐待部屋は自然に近い状態にするのもアリだと思うよ。 ま、洞穴のとこは、火炎放射器とかを壁に隠してあったりするけどね…。 「ゆっ!まりさ!きょうはれいむがごはんさんとりにいくよ!」 「いいのぜ?」 「れいむにまかせてね!」 「わかったぜ。いってらっしゃいのぜ!」 ぜっぜぜっぜうるさいなあ。あ、監視カメラやマジックミラーでの観察は必須だね。状況がよくわかるから。 しかしれいむは健気だね。新居に移ったその日から食料集めかあ。 「ゆゆーん!おいしそうなりんごさんだよ!」 「ゆ?あまあまさんだあああ!!わーいわーい!ゆっくりできるよぉ!」 リンゴを見つけたか。栄養たっぷりだぞ、ふふふ。 え?あまあまさん?あ、レイパーれいむを3ヶ月かけて作り出した時に犠牲になったゆっくりの亡骸が残ってやがった! 「まりさ!これできょうとあしたはゆっくりできるよ!」 「あまあまさんもあるのぜ!れいむはすごいのぜ!」 「ゆふふふー、まりさには負けるよぉ」 「ゆふふふふ」 結構仲いいのな。さて、1日ゆっくりさせたら、翌日まで放置していて大丈夫。 あ、レイパーれいむの話でもしようか? レイパーれいむは、お兄さんが秘蔵の妄想自作マンガや工口画像を見せたり、 すりすりしまくったりした結果に出来たものだよ。 完成した後は虐待部屋でテストしたんだけど、レイパーありすと違って警戒されないから、どんどん犠牲になっていくんだよ。 でも一応母性が強いれいむだから、レイパーありすと違い、犠牲になったゆっくりの子供には子守唄を聞かせたり、 朽ちた犠牲者の中身を食べさせたりするんだよね。なんか偽善者っぽくて笑える。 この前はゲスなドスの群れに潜入させたっけな。 さて、朝になったられみりゃを放して虐待部屋のゆっくりを蹂躙! といきたいところだけど、 れみりゃと適当なれいむをセットで放す。 放すタイミングが重要で、そうだな、今回はれいむが出てきた時にしよう。 そら、出てきた。二匹とも!!いけ!!! 「ゆ〜、きれいなおそらさんだよぉ〜♪」 「ゆ?なにかきこえるような?」 「ゆぎゃあああああ!!!いだいよおおおお!!!」 「う〜♪う〜♪」 「ゆっ…れみりゃだ!見つかるまえににげるよ!」 このれみりゃにはわざとセットになったれいむのみ食べるように言ってあるけど、 野良れみりゃとかにやらせるとトレーニングの予定が狂うこともあるので、気を付けないとね。 「まりさぁ!!れみりゃがいたんだよ!!」 「なにいってるんだぜ?ここはゆっくりできるはずだぜ?」 「でもほんとにいたんだよぉ!!」 「ゆう…ゆっくりできないのぜ」 「だいじょうぶかなぁ、みつからないよね…?」 「だ、だいじょぶにきまってるぜ!まりさはさいきょうだからみつかってもたおせるぜ!」 「そそそそうだよね!大丈夫だよね!」 2匹に「ゆっくりできないれみりゃがいる」と思わせるのが先の行動の目的さ。 では、2匹とも出てくるまで待とう。 出てきたら、少したったぐらいでれみりゃを放す。 れみりゃには「れいむを頭に乗せて一緒に遊んでやってくれ」と言ってある。 ここが今回のトレーニングの要さ! 「ゆゆーん、すてきな花だよぉ」 「れいむにあげるのぜ!」 「ゆっ!すてきなぷろぽーずだね!」 「ゆへへへへ…」 「うー♪」 「「どぼじでれみりゃがいるのおおおおおおおおおお!!!」」 「れ、れみりゃだよ!まりさ!」 「わわわかってるのぜ!!でも、でも…まりさはたたかわないのぜ!!!」 「ゆううう!?どぼじでえ!」 「れいむがおとりになって、まりさをにがしてくれるからだぜ!あばよ!!」 「ゆぎゅうううう!おいてかないでよおお!ひどいよ!うらぎりものぉ!!」 想定通り、まりさはれいむを見捨てたよ。語尾にぜが付くまりさはこういう行動が多いんだよなあ。 「うー♪」 「ゆうう…ひとりでもたたかうよ!」 あれ、勇敢だな。ボインボインとれみりゃに体当たりしているぞ。 「うー!」 「きいてるの!?きいてないの!?わからないよおお!ううう!!」 そんなちぇんみたいなセリフを喋らなくても。 「うー」 「…ねえ、たべないの?どうして?」 「うー!」 「ゆー、ふしぎなれみりゃだよ!」 「うー♪」 「のっけてくれるの?」 よしよし。 「おそらをとんでるよお!すごいよ!れみりゃはゆっくりできるよ!!」 「うーうー♪」 それじゃ、ここでお兄さんが登場だ。 「れいむ、楽しんでるね」 「ゆゆっ!お兄さん!ちょっとこわかったけど、ゆっくりできるれみりゃもいるんだね!!」 「そうだよー。実はそのれみりゃはお兄さんが飼っていたんだよ」 「じゃあおともだちになれるの!?」 「なれるよ。あ、心配しなくてもいいよ。れいむをエサになんかしないから」 「あんしんしたよ!!ゆ、でも、あのまりさは…」 「せっかくだからからかってやろう!」 「いいあいであだよ!!れみりゃ!まりさをおいかけてね!」 お兄さんは退室して、また外から様子を見るよ。さあクライマックスだ! 「ゆっぐ、ゆっぐ、ばかれいむはぎせいになったのぜ!まりさはいきのびるのぜ! ごはんもひとりじめできるし、ばかれみりゃさまさまなのぜ!!」 「まりさ!ゆるさないよ!」 「どぼじでれいむがいるのおおおお!!ばかれみりゃにのってるじいいいいい!!」 「れみりゃがのっけてくれたんだよ!ひどいまりさはれみりゃものせないっていってるよ!!」 「う゛ー!!」 「ぢぐじょおおおお!!!ばがでいぶどもどもぶっごろしでやるうううううう!!」 「うーーーー!!!」 「どぼじでだいあだりあだらないのおおおおおお!!」 いいぞ!れいむと一緒にまりさの攻撃をよけ、自分から手は出さない! 精神的に追い詰めるんだ! 〜30分後〜 「ゆ…ゆ…つかれた…」 「うー」 「まりさはゆっくりれっとうかんをかんじてね!」 「ゆ…ゆ…もうやだ…」 まりさはかなりストレスがたまっているはずだ! もう少しだ! 「まりさはもうたのまれてもけっこんしてあげないよ!」 「ゆ…ゆ…ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆ ゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆゆっゆゆyっゆゆゆゆゆゆゆうゆゆゆゆゆいうるゆゆるうゆうゆゆゆゆゆゆゆゆ」 「ゆ?まりさのあたまがおかしくなったよ!」 「うー♪」 「そうだね!おにいさんのところにいこうね!」 フィニッシュだ!まりさはストレスのあまり気が狂った! しかし、トドメがあの一言か。まりさも一応れいむの事を好きではいたようだなあ。 あ、れみりゃきた。 「おまえたちはれいむの部屋で一緒にゆっくりしててね」 「うん、わかったよ!」 乗せてしかも飛んだまま移動しているって不思議な光景だわ…。 さて、後始末はお兄さんがやらないとね。 「YUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYUYU」 「まりさ」 「湯があああああああああああああああああああああああああああああ愛wf呪医あああああああああああああ ああh著tvwskkhvwヂvhfdvgfgvhsfsgrjjtbsjvレkjjkレjjgレjjgレjhgrhケvkレwjvgkjvgrケtvkレvghレvhレgvjレvgレkvgレkvgレkゲrkj」 「死ね」 ブチッ 「……ゆ゛っ゛…」 悲しい最後だなぁ。それじゃあ二つ目いこう。 二つ目のトレーニングは、シンプルに、レイパーありす50匹をつめこんだ部屋に適当なれいむを入れるんだ。 レイパーありす50匹は一歩間違えれば危険な代物。トレーニングが終わったら、潰すなり、鎮めるなり、 はたまた君がHENTAIならその性欲を自らの性欲でうちたおすのもアリだよ! ともかく、れいむを入れる前に、ありすのいない空間を作って、外から入れないように仕切りを作るんだ。 そうしないと、こうなる。 「ゆっくりしていっでねえええええ!?でぎないよおおおお!!!」 「はあっ、はあっ、はあっ、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」 3匹のありすにこすられまくって、犯し殺されてしまうよ。 運が悪いと、子供が生えたのに反応してキモいことを口走るよ。 「はあ、はあ、ありすとれいむのあいのけっしょうなのねえええええ!! さらなるあいをあたえてあげるわあああああああああああああああ!!!」 と産まれてもいない子供に突進。これはひどい。死ね。 本番といこうか。 「ゆっくりしていっで…エレエレエレエレエレエレ」 「はいてるれいむもがわいいいよおおおおおおおおお!!!!」 周りを囲むレイパーに気付いた瞬間、激しく嘔吐した。 一応れいむがいる場所を居住空間として、嘔吐物やうんうん、しーしーをする穴(穴の先は排泄物置き場。これはまた別の虐待に使うこともあるよ!)や、 水飲み場、おふろ(浅いものじゃないと溺れちゃいます)、遊具やベッド、緊急時のオレンジジュースを用意しておこう。 「はあ…はあ…おれんじじゅーすさんがあるよ…ゆ、ゆう、あぶなかったよ…」 「はあはあはあはあ…どぼじでれいむにごのあ゛いをづだえられないのがじらあああああ!!!!!」 「こ、こないでね!!!…あれ?これって、ありすはこれないの?」 「ううううううううううううううう!!!!ぐるじいいい!!あいをおおお!!!」 「ゆ、ゆう…うるさいしきもちわるいからゆっくりできないけど、これならやっていけそうだよ」 と、まあ、ありすを放置プレイしつつ、れいむに普通に生活させる。 一度でもお兄さんとか元の母親の姿をみているゆっくりだと、ストレスですぐにさっきのまりさのようになるから気を付けて。 さて、ここでこのトレーニングのターゲットを明かそう。 そう、ターゲットは実はれいむではなくレイパーなんだよ! レイパーは実はその愛(笑)を受け止めてくれる相手がいないと…おっと、これはヒミツ。 それじゃ、一日1体、ゆっくりを投下するよ。 「ゆっ?レイパーだああああ!どぼじでごんなにいるのおおおおおお!!!」 「まりさああああああ!ありすがあなたをほねぬきにするからねええええ!!」 「やべでよおおおおおお!ずっぎりじだぐないいいいいい!!」 五日経ったら、二日に1体にシフトするよ。 さらに三日経ったら、一気に1週間に1体にする。 こうなると、ありすは阿鼻叫喚。 「ぐるじいいいいい!!!!」 「ゆゆう、きもちわるいよ!こっちこないでね!」 「でいぶうううう!!ごっぢぎでずっぎりじまじょうよおおおお!!」 「やだよ!あっちいってね!」 人間のようにはいかず、一人では性欲をためこむばかり。 レイパーどうしですっきりはしないので、どうにもならない。 ありすたちが不満を口にし始めたあたりで、まりさをれいむの居住スペースに投下。 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!ゆ!?レイパーだ!!!」 「大丈夫だよ!こっちにはこれないから!ゆっくりしようね!」 「ゆ、ゆ!ほんとだ!ゆっくりしようね!」 しばらく置いて、仲良くなったら照明を薄暗くする。 夜のような感じでね。 「ゆ…夜なの?」 「でもいままで夜にはならなかったよ?」 「ゆゆう、まあいいよね」 「そうだね。…ねえまりさ…」 「ゆ?なに?」 「れいむ、あかちゃんほしいよ」 「でいぶうううううう!!!まりざああああああああ!!!!わだじの゛ごどもはらんでええええええええ!!」 「…むししようね。うん、いいよ。」 ありすの目の前ですっきりをさせるというわけ。 「「すっきりー!」」 「ああああああああああああああああああああああああずっぎりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいじだいいいいいいいいいい」 「ゆゆう、いきなりレイパーがいたら怖がらないかな?」 「たぶん、目を開ける前にあんぜんだっていってあげたらだいじょぶだよ」 「そうかなあ」 さて、これでゆっくりした家族生活をはからずもれいむとまりさは見せつけることになる。 ありすは、性欲がたまって、だんだんヤバい状態になる。 「ゆげっ、ゆげっ、、ずっぎり、ずっぎり!!!」 「ゆげじ!!ずぎ!ずぎり!あい!あい!」 「あかちゃん、あれがれいぱーだよ」 「ゆ?きょわいよお!」 「ゆっくりできるよ。あんしんしてね」 「ゆっきゅりちゅるよ!!」 「あぎゃ!!!ずううう!ぎぎぎい!」 これをお兄さんは自爆症候群と呼んでいるよ。 自爆症候群とは、ありすがすっきりできなすぎて自爆することをいうよ。 あ、ほら… パァン!!! 「ゆげええええええええげげげげげげっげえ!!!」 パァン!!!!! 「あああああああ!あいがだりないのおおおおおお!」 パンッ!! しかし中にはあまりのキツさや本来の家族愛を目にして正気に戻る者もいる。 「ああああああああああ!!!……ゆ…ゆ?どぼじでれいぱーがいるのおおおおお!?」 「ゆげっ!ずぎり!ずぎり!」 「いなかもの!ずっぎり!じだくないよおおおおすっきり!!うわあああああすっきり!」 正気に戻ると最早同種ですっきりするのも厭わないようで、即犠牲になる。 このような犠牲者から生えてきた茎を、素早くマジックアームで確保。 オレンジジュース漬けにして素早く赤ゆっくりとして誕生させる。 それら全てがありすであり、またレイパーと元レイパーの子ということで、 ちょっとすりすりしてやったら性欲狂いになる超過敏な爆弾だ。 これを、成長を早める薬を使用しつつ、 レイパーをその愛でうちたおすことを教える。 「ゆゆ!ときゃいはのありしゅがいなかもののれいぱーにときゃいひゃのあいをおしえりゅのね!!」 まあ自覚のないレイパーということで。 大きくなったらレイパーありすの部屋に投下。よく見たらもうありすが30匹ぐらいになってるな。 「あがぢゃあああああああん!!!!ありずのあいをうげどめでえええええ!!!」 「ゆっ!いなかものね!ほんとうのあいをおしえてあげる! んほおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 「っ゛!!!っ゛!!!っ゛!!!…もっ…っ゛!!!ずっぎ…!!!」 レイパーをレイパーが犯し殺す。不思議な光景である。 また、普通のレイパーとは性質が違うので、なんか、こう、ものすごい。 犠牲になったレイパーの頭からは茎が50本生えている。うわあ。 「すっきりー!!ふう、いなかものはいなくなったわ!!」 「たしかにいなくなったけど、やっぱりきもいよおおおおお!!」 「どぼじでぞんなごというのおおおおおおおおおおお!!」 パァン!!! 成長を早める薬は、精神的な面での成長が遅くなるという欠点を持つ。 ようするに豆腐メンタル、いや饅頭メンタルということで、罵倒されると素早く爆発する。 レイパーが全滅したら、れいむとまりさの家族の待遇は自由だ。 トレーニングの一環として、殺すことにしよう。 「ゆっ!おにいさん!ゆっくりしていってね!」 「うん!ゆっくりしていくよ!れみりゃも仲間に入れてね!」 「え?」 「うー♪」 れみりゃにエサをあげよう! 「れみりゃはむりだよおおおおお!!」 「うー!!」 「いだいいだいいだいいだいいだい!!!!!」 「おかあしゃあああああん!!!」 「うあー!!」 「ああああああああああ!!!」 「うーうー♪」 全滅したぞ! さて、トレーニングはここまで! みんなもゆっくりトレーニングしていってね!!チャオッ☆ 「おにーさん、なんなのこれ…」 「虐待お兄さんに捧ぐトレーニングビデオ 第一弾!らしいけど…」 「なんか…やだ…」 「…もう借りるのやめるよ」 「それがいちばんだよ…」 終 [[このSSに感想をつける 感想フォーム]]
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1316.html
少し大きめの人形が背負っていた籠をひっくり返すと、中から小ぶりなゆっくりまりさがぼとぼとと落ちてきた。 生まれたばかりの個体であるため、まだ全体の半分ほどがゆっくりゆっくり夢の中。 そんなゆっくり達を覚醒させたのは、ぱんぱんという軽快な音。 優しそうな女の人の声が、最後まで眠りこけていたゆっくりを引き上げる。 「ゆー?」 「ゆゆ!」 「ゆっくり!」 「ゆっくり!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 目覚めたばかりだというのに、元気のいい大合唱。 女の人はにこにこしながら、赤ちゃんゆっくり達の数を数えていた。 「さあみんな、おはよう。生まれたばかりでお腹も空いているでしょう」 「ゆ!おなかすいたよおねえさん!」 百匹を越えるゆっくりたちの訴えに、女の人は笑顔で応えた。 「ほら、あそこを見て」 「ゆ!ごはん!ごはん!ゆっくりたべたい!」 女の人が指差した先には、おいしそうな食べ物がおいてあった。 さっそく走り出そうとしたゆっくりたちは、透明な壁に阻まれてそれ以上進む事ができない。 「焦らないの。そうね、ちょっとその前にゲームをしましょう?」 「げーむ?」 「そう。五匹ずつ、かけっこ。一番についた子はごはんをいっぱい食べさせてあげる」 「ゆゆ!たのしそう!やりたいやりたい!」 「そう?じゃあまずは、あなたと、あなたと、あなたたちね」 「ゆ!ゆっくりはしるよ!」 「ゆっくりいちばんとるよ!」 選ばれなかったゆっくり達からは不平不満が出たが、女の人は気にするそぶりもなく五匹を壁の向こう側へつれていった。 「じゃあ、よーい、ドン!」 ぴょんぴょんぴょん、いの一番にゴールしたゆっくりが嬉しそうに真っ赤なリンゴにかぶりつく。 負けじと駆けつけた二番のゆっくりも、いい匂いのする桃をぺろり。 少し遅れて三番のゆっくり。よく焼けたクッキーをばりばりと食べた。 四番目のゆっくりは、ちょっと硬いにんじんをほおばった。 「ゆ!ごはんがないよ!おねえさんゆっくりもってきてね!」 もたもたしていた五番目のゆっくりがゴールするころには、もともとそんなに多くなかった食べ物は四匹の腹に収められてしまっていた。 五番目のゆっくりが不満げに振り返ると、 「ゆ゛う゛う゛う゛ぅぅぅ!!」 目の前まで迫っていた人形の槍で、大きく開けた口をずぶり。 「な゛に゛ずる゛の゛お゛お゛おぉぉお!!!」 「ゆ゛っ゛ぐり゛や゛べでぇぇぇ!」 泣き喚くゆっくり達に、女の人は思い出したように、 「そうそう、一番足の遅い子には罰ゲームね」 楽しそうに言い放った。 「大丈夫よ。ドベにさえならなければいいんだから。簡単じゃない」 しばらく時間が経って、20体分の餡子を踏みつけながら女の人が言った。 「ふう、みんな終わったかな?おつかれさま。家の中にあなたたちのお部屋を用意してあるから、 そこでしばらくゆっくりするといいわ」 死に物狂いで走り抜けたゆっくりたちは、荒い息を隠そうともせずにずるずると人形に案内されていった。 涙と鼻水でべしゃべしゃになった顔を洗うことも許されず、80匹のゆっくりが四メートル四方の部屋に押し込まれる。 窓のないその部屋で、ゆっくり達は三日を過ごすことになる。 食事は一日一度、人形が溶けかけた野菜の切れ端や干からびて黒ずんだ肉を持ってくるだけ。 水も一日に二回、バケツに汲んだ水をぶっかけられるだけ。 ゆっくり達は何故自分たちがこんな仕打ちを受けなければならないのかわからなかった。 生まれて四日目、女の人がドアを開けた時には、力尽きたもの、喧嘩で押しつぶされたものがいくつかいた。 60匹に減ったゆっくりたちは、のそのそと人形に追い立てられるまま部屋の外へ。 「みんなおつかれさま。さあ、今日も楽しいゲームをしましょうね」 その言葉を聞いて「や゛だあ゛あ゛あ゛ぁぁ!」泣き叫ぶものと、ほぼ無反応なもの。 そして、ごく少数、澱んだ目を細めるものもいた。 「今日は、障害物競走で遊びましょう。ほら、ゴールにはおいしいごはんがあるから、がんばりましょう!」 女の人が指差した先には、とてもとてもおいしそうな果物や、野菜がおいてあった。 しかし、そこに至るまでのコースにはどうひいき目に見ても致命的なトラップが三つ、ゆっくりたちを待ち構えていた。 一匹のゆっくりは最初の平均台で足を滑らせ、煮え立つ油の中に落ちた。 また、狭い足場を踏み外して竹やりに串刺しにされたゆっくりもいた。 十分に体を平べったく出来ず、回転するノコギリに額を削られた。 それらを突破して、最後の直線にまでたどり着いて、ほっとした笑顔のまま落とし穴に落ちた。 何とか落とし穴を回避してゴールしても、グループの中で最下位だったため罰ゲーム。 中には小ずるいやつもいて、先をゆく仲間を踏み台にしてトラップを突破するものもいた。 人形を傍らに控えさせた女の人は、ゆっくりたちの悲鳴を聞きながら紅茶を楽しんでいた。 最後のグループは三匹のゆっくりがゴールした。 顔を歪ませながら落とし穴を抜けた四番目のゆっくりまりさは、仲間がうまそうに餌をむさぼっているのを見ながら人形の槍に貫かれた。 「ゆ゛ぎゅ゛う゛う゛ぅううう!!!」 先にゴールした20匹のゆっくりは、もはや興味がないとばかりに餌にがっついていた。 ゆっくりが刺さったままの槍を高々と掲げた人形は、冷たい表情のまま槍を振ってまだ痙攣しているゆっくりを捨てた。 ぱち、ぱち。女の人がにこにこ笑いながら、嬉しそうに拍手をしている。 20匹のうち16匹はなんの反応も示さなかったが、4匹のゆっくりは歪んだ笑顔で、楽しそうに 「ゆっくりしていってね!!!」 ぴょんと一度跳ねた。 それからまた一週間、ゆっくりたちはもといた部屋に閉じ込められた。 80匹ではかなり苦しかった室内も、20匹なら何とか生活スペースは確保できる。 それでも、力のないものや比較的体の小さいものは隅に追いやられていった。 弱いゆっくり達は一日に一度の腐りかけた食事さえ満足に口にできず、日に日に弱っていく。 ある日、空腹で死に掛けていたぼろぼろのゆっくりまりさに、別のゆっくりまりさが噛み付いた。 「ゆ゛う゛ぅ゛ぅ゛ぅぅ!!」 「ハァハァ……うめえ!めっちゃうんめえ!」 これまでの縄張り争いからくる攻撃ではなかった。血走った目で、同種をがつがつと貪り始めた。 狂気はあっという間に伝染し、部屋中を悲鳴と咀嚼音が満たした。 女の人がドアを開けたとき、生き残っていたのは5匹だった。 そのうち1匹は体中かじられて虫の息だったので、人形の槍で針鼠にされた。悲鳴はあがらなかった。 「さあ、最後のゲームをしましょう」 十分な餌を食わせた後、女の人が口を開いた。 四匹のゆっくりは、へらへらと笑っているものが二匹、濁った目で虚空を見つめるものが二匹。 「ゆっくりしていってねぇ」 媚びるような口調で、へらへら笑っているゆっくりまりさがいった。他の三匹も視線だけは女の人へ向ける。 「最後は簡単、鬼ごっこよ。今からあなたたちを森の中へ放します。逃げ切れたら、あなたたちの勝ち。 捕まったら罰ゲーム。今のあなたたちなら簡単よね?」 ゆっくりと食休みの時間をとり、四匹のゆっくりたちは柵が開かれるのを待った。 「じゃあ、よーい……」 へらへら笑う一匹が、無表情なまりさの前に体を寄せた。 「どん!」 人形が柵を開くと、四匹のゆっくりが弾かれたように走り出した。ついさっきまで無表情だったゆっくりも、生存本能は誰にも負けていない。 死に物狂いで走る無表情まりさ。しかし、5メートルほど走ったところで、前を走るへらへらまりさが急に反転した。 「ゆっくりしんでいってね!!!」 不意の衝撃。視界が揺れ、森の切れ目から青い空がみえた。 一度バウンドし、慌てて起き上がると、へらへらまりさが森の奥へ消えてゆくのが見えた。 ほぼ同時に、 「ゆ゛ぐっ!!!」 焼けた鉄を打ち込まれるような痛みが立て続けに走り、その意識はかき消えた。 四匹のゆっくりまりさが走り出して一時間が経った。 女の人、アリスは森の中を捜索する人形を呼び戻す。 「二匹、か」 人形の槍にぶら下がる二つの塊を見下ろして呟いた。 アリスは一度満足げに頷くと、人形を連れて家に帰っていった。 アリスが森の中へ逃げた二匹のゆっくりを見ることは、それきりなかった。 それから一ヶ月ほど経った。 朝起きたアリスは烏天狗の新聞の一面を見て、嬉しそうに目を細めた。 『ゆっくり、里の倉庫を集団で襲撃!』 『群れを統括する、ずる賢く逃げ足の速いゆっくりの存在!』 『ゆっくり愛護会、脱退者続出で存続の危機!』 「がんばっているようね、あの子たち」 ぽつりと呟いて、新聞を丸めた。 今日は「鬼ごっこ」の日だ。さて、今回は何匹の悪意にまみれたゆっくりが逃げ切るだろうか。 アリスは吊りあがる唇を一度なでて、ゆっくりの餌を作るため台所へと向かった。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/524.html
いつも襲撃してくるゆっくりを迎撃していてはラチがあかないので逆侵攻することにした。 最近、より大量のゆっくりが一斉に突撃してくるのは、冬ごもりが近い為に手っ取り早く多量の食料を手に入れようと目論んでいるからだろう。 もう収穫期が終わり私の畑には何も無いが、だからといって防御陣地を放棄すると後方の冬小麦が食い荒らされてしまう。 そうなるとひどく面倒なことこの上ない。 他の人里外縁部のように突破不可能な金網でふさぐのはある事情から不可能だった。 ここの防御陣地は他の畑と違って見かけ上突破可能に見えることからゆっくりが襲撃しやすい為に、いつの間にかできていたゆっくり対策委員会にゆっくり誘引撃滅の役目を課されている。 放棄できない、だからと言って突破不能にもできない、だけど楽をしたい、逆侵攻の理由はそんなとこだ。 毎回襲撃時は大規模な群れで一気にやってくるから、事前に連中が一箇所に集まる場所があるのだろう。 (事前に集結しなければ欲望に忠実なゆっくりの事、襲撃タイミングを合わせよう等とはせず五月雨式に襲撃してくる筈だ) その集結地点を突き止めるための方策を考えた。 探すよりは知ってる奴に聞いたほうがはやい、なので捕虜のゆっくりを尋問する。 幸いなことにハーグ陸戦法規に饅頭の人権を考慮するべきとは書かれていないので思う存分聞くことができる。 最近の襲撃で捕らえた紅白饅頭に聞くことにした。 コイツは鉄条網に掛かって瀕死だったところを助けた為にこちらを親切な人間だと思っている、協力的な個体となっている。 「おじさん!たすけてくれてありがとう!!」 いきなりコレだ。鉄条網が我々によって設置されたものだと知らないからだろう。お礼を言われて悪い気はしない。 「うん、無事でよかったよ。ところでお譲ちゃん、こっちに来る前にみんなでゆっくりしたかい?」 「みんなでゆっくりやすんだよ!」 「どんな所か覚えてる?」 「ひろくてゆっくりできるとこ!」 それは分かってるんだよ畜生め。あれだけの数で集結するとしたら、いくら小さいゆっくりとはいえそれなりに広い場所が必要になるのは当然だ。 だが、有益な情報も得られた。「ゆっくりやすんだ」ということは前日に集結し、そこで夜を明かしたということだ。 夜中に奇襲を掛けるという有力な選択肢ができた。 「森の中かい?」 「そうだよ!」 魔法の森の中でそれなりに広いところといえば数が限られる。そのうえ、その少ない広場の幾つかには家が建っているのだ。 厚顔無恥なゆっくりとはいえ人間の家の周りに集まりはすまい。(特に一つはあの人形遣いの家だ) 「そこで一緒にゆっくりしてm「おじさん!おなかすいた!」」 鈍い音が部屋に響く。セリフが耳に入ったとたん、反射的に手が出てしまった。 紅白饅頭は最初何が起こったかわからないという顔だったが、次第に目が潤んでくる。 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛!びどい゛よお゛じざん!!」 「ごめんごめん、蚊が止まってた。」 「ゆ゛っ、そうな゛の?」 いとも簡単に騙される紅白饅頭。 殆どの人が思っていることだろうが、こんなに簡単に騙されるとか己が生態系で占める位置、つまり被捕食者として如何なものだろうか。 「で、お腹がすいたのかい?」 「うん!ごはんちょうだい!ゆっくりまってるよ!」 「みんなでゆっくりする場所を教えてくれたらあげるよ。」 「まりさがニンゲンにおしえるなっていってた!」 「ほう…黒大福め」 今の言葉でこれ以上『平和的』な手段により情報を得るのが不可能とした私は紅白饅頭を掴み、用意しておいた氷水へ突っ込んだ。 身長方向に伸縮しながら水中でブクブクと気泡を吐き出す姿はユーモラスなエアーポンプといったところか。 そのうちに体表が暗い色になりかけ、動きが鈍くなったので引き上げてやる。 「やあ、暖かいから頭がどうかしちゃったのかな?冷たい水でさっぱりした?」 返事は無い。紅白饅頭は呼吸と泣くのと水を吐き出すので大忙しだ。 「おーい。無視しないでくれよ。もう一回水浴びしたいのかい。」 「ゆ゛ぶっ!ばなじまずぅ!ばなずからやめで!」 「おし、キリキリ吐けよ。」 「お゛、おおぎいかわがながれてたよぉ」 泣きながら答える饅頭。 大きい川か…ゆっくり基準なので大小はアテにならんが、そもそも川が流れている森の広場など一つしかない。 「まあいいや、協力に感謝する。ゆっくりしたいか?」 「ゆ゛ゆ゛っ!お゛ながずいだよー!」 約束したからな、食わせてやるよ。 そう思った私は紅白饅頭の頭髪を掴むと廃棄物集積場と書かれた看板の方を向き、全力で投てきした。 「なんて゛なけ゛るの゛おお゛ぉ゛ぉー!」 「ゆっくり食えよ!好き嫌いするんじゃないぞー!」 物理の教科書に載せられるほど美しい放物線をえがいて空中を翔けた紅白饅頭は運動エネルギーを殆ど減じることなく地面に掘られた正方形に近い穴に突入。 気持ち悪いとされる部類に入る表現しがたい着地音のあと、つかの間の静寂が訪れた。 あの紅白饅頭は何処に放り投げられたのか必死に状況把握しようと努めているのだろう。 その努力が終了したことは直ちに判明。 紅白饅頭のひどく腹立たしい悲鳴が飛んできたのだ。 無理もない。あの集積場には商品価値どころか食物としての価値すら失った作物はもちろん、襲撃の度に生産されるゆっくりの死骸も放り込んであるのだ。 ついでに言うと、生き残った個体をバンバン放り込んだ為に集積場から悪臭はしない。 連中は餓死したくない思いでかつての仲間の成れの果てや腐敗一歩手前の作物を食べてくれるので、こちらは快適に過ごせるわけだが。 「そこでずっとゆっくりしてねー!」 「やた゛ああぁぁ!た゛す゛け゛て゛よおし゛さ゛ん!」 こちらがかけた声に紅白饅頭は必死な返事を返した。助けてやらないけどな。 逆侵攻するべき目標は分かったので、人員や襲撃時刻、装備を決定する為にオリーブドラブの天幕へと足を向ける。 紅白饅頭の悲鳴は本当に加虐心をくすぐると思いながら。 夜中に奇襲を掛けるという案は廃された。 幾らなんでも夜中じゃあ妖怪に食われても文句は言えないという意見が会議で多勢を占めた時点でこの案の行く末は見えていた。 では日中襲撃案はどうだったかといえばこれもダメだった。 黒大福のタイムスケジュールからいって午前中はそもそもこっちに襲撃をかけている真っ最中だ。 その後の正午から日没までは襲撃をかける仲間を集めるために森のあらゆるゆっくり営巣地に訪れていると考えられた。 日没後、黒大福は仲間と集結して次の日まで休むわけだが、日付が変わるまではゆっくりが起きている可能性を捨てきれないためこの時間帯も却下。 以上から襲撃時刻は日の出前と決定された。 この時間であれば妖怪もゆっくりもまず確実にお休み中であるからだ。 ゆっくりは生態系の中では明らかに被捕食者だが、日の出までは惰眠を貪るという無防備極まりない生活を送っているのが幸いだ。 連中にとっては不幸以外の何物でもないが。 襲撃時刻の案は決定までに二転三転したが、人員や装備の案はスムーズに決定された。 自警団にしろアマチュアの研究家にしろこちらに派遣できる人員などいないし、装備にいたっては言わずもがな。 こりゃダメかなという雰囲気が漂ってきたところで加工所から来た白衣の男が手を上げた。 人員と装備はウチに任せてください、ちょうどアテがありますという男に対し、そりゃ頼もしいが俺たちは捕獲じゃなくて駆除をやるんだが、とか、来るのはどんな連中なんだ、などの質問が浴びせられた。 説明を行うために立ち上がった男は、研究開発部実験隊が試したいことがあるみたいでと言うと騒がしくなり始めた会議室は静まり返った。 噂に聞く研究開発部実験隊となれば無理もない。 他に案も無いのでその実験隊に人員と装備を頼る案が決定され、会議はお開きとなった。 そのような紆余曲折を経て今の私は明るくなり始めた森、その中でもやや小高くなった場所に陣取っていた。 外の世界から幻想入りした後、香霖堂の主人が拾って河童がそれを買い取り改造、それの複製品を加工所が試験導入したという複雑な経緯を持つ暗視鏡を覗く。 潰れた楕円形に森が切り取られたような場所、川が流れる広場に蠢く物体が見えた。 間違いない、ターゲットだ。 よくも毎回仲間を集めるものだ、襲撃の度に文字通り全滅に近い損害を受けているのに。 それほどまでの繁殖速度だからこそ食料が不足して森の外に出てくるのだろうと思い、暗視鏡から顔をはずして後ろを向く。 見事なまでに華の無い連中の方を向き目標が存在することを伝える。 視界の先の机がライトで照らされており、その上に広げられた地図を使用していることを伝えていた。 加工所研究開発部と書かれたプレートを胸につけた河童の男が了解と返事を寄越し、地図に記入し始めた。 その向こうにはまだ薄暗いためにひどく確認しづらいが、周辺警戒中の男のシルエットが見えた。 同じ型の暗視鏡を覗いて監視継続中の男はさっきの暗視鏡の隣で微動だにしていない。 全員真剣そのものだ。 これなら決行できるだろうと思い、時計を見た。 二つの針はともに5と6の間を指している。 秋真っ盛りの今日、日の出はだいたい6:00なので行動開始時刻は5:30としている。 つまり、いつもの防御陣地で待機している連中にそろそろ連絡せねばならないという訳だ。 地図とは別の机に置いてある受話器を取り、陣地の通信室へ接続。 大気の向こうから電波に乗せられた男の声が耳にガンガン響く。 こんな時間なのにひどく興奮した様子だ、もしかしたらこんな時間だからこそ興奮しているのかもしれない。 とにかく、目標地点にターゲットが所在していることを伝え、直ちに行動開始するよう要請した。 受話器は下ろさない、これから始まることに必要だから。 人々に黒大福と呼ばれ、襲撃の首謀者とされているゆっくりまりさは他の仲間よりもかなり早く目覚めた。 仲間を誘った以上、皆を守るのは自分の役目だとゆっくりとしては立派な部類の事を思ったためだが、一匹だけではできることに限界があった。 まりさにできる事は群れの中心で木箱の上から周囲を見渡すだけだった。 彼女なりに真剣に周辺を眺め回していると、背筋がぞっとする様な音が聞こえてきた。 ニンゲンのはたけできくおとだ! 彼女はこの音の後何が起こるかも知っていた。 先に突進した仲間のゆっくりが突然発生した爆発に粉砕され四方八方に吹き飛ばされるのを何度も見ていた。 はやくみんなでにげないとゆっくりできないよ! そう考えて近い仲間から起こしにかかるが、彼女の心配など知らぬように仲間たちは熟睡している。 「おきて!おきてよ!ゆっくりできないよ!」 「ここでゆっくりしちゃだめだよ!おきて!」 彼女の奮闘空しく、風を切る甲高い音は最大まで大きくなり、群れの一番奥で爆発が発生した。 ゆっくりの体だったものが飛んでくると思い目を閉じて身構えたが、何も飛んでこなかった。 おそるおそる目を開けると爆発が起きた場所にはもうもうと煙が立ちこめ、そこにどんなゆっくりがいたか分からなくなってしまっていた。 爆発音で流石に群れのゆっくりは殆どが起きてきた。 「ゆっくりおはよう!」「ゆっくりもーにんぐ!」 「まりさー、なにがあったの?」 「ゆっくりできないの?ゆっくりしたいよ!」 「あさごはんをはやくゆっくりたべたいよ!」 彼女はここで判断を誤った。 群れが起きた時点でこの広場を離れて森に隠れるべきだったが、幸か不幸か爆発でゆっくりが死んだようには思えなかったのでこの地点に残ることに決めた。 二つ目の風きり音の後に起こった爆発でもゆっくりが死んだようには見えなかった事がその決定を後押しした。 とりあえず全てのゆっくりが起きるまでは出発せず、ゆっくり待つ事にしたために、先ほどの風きり音が複数聞こえ始めた時点ではどうにもならなくなっていた。 視界には相変わらず睡眠中のゆっくりの群れと、その中央、木箱の上で周囲を警戒しているつもりらしいあの黒大福が映っていた。 「ハンマー、ハンマー。こちらグリフィス。評定射、座標4700-1010 標高100 観目方位角2400。集結中のゆっくり。正面150 縦深100」 「こちらハンマー、了解。…発射した。」 かすかな風きり音が聞こえた後、群れの奥で爆発が発生、続いて濃い白煙が発生し始めた。 爆発音で起きたらしいゆっくり共は何事だろうとひどく間抜けな顔を群れの奥に向けている。 「ハンマー。こちらグリフィス。修正射、20下げ。」 「こちらハンマー、了解。…発射した。」 二つ目の白煙は一つ目とは群れを挟んで丁度反対側で発生した。 ゆっくりはそちらの方を一斉に向くが一つ目のときほど驚かない。 おおかたゆっくりが死んでないからゆっくりできるよ!とか思っているのだろう。 こちらから見ると着弾のたびに一匹ほど巻き込まれているんだが。 「ハンマー、こちらグリフィス。10上げ。効力射を要請。」 「ハンマー了解。…発射した。」 最初とは比べ物にならないほどの大量の風きり音。 十秒おきに発生する3つの爆発が群れの中央辺りでゆっくりを殺戮しはじめる。 今度の爆発は2発目までよりも遥かに強力だった。 双眼鏡で群れを見ると、爆発が起きるたびにゆっくりがゆっくりだった物へと変化し、飛び散っていくのが見えた。 硬直しているゆっくりの塊で爆発が起きる。瞬時に餡と皮の混合物へと変化したゆっくりが生きている仲間に降りかかる。 自分にくっついた物が何かを理解したゆっくりが発狂してのた打ち回るのが見えた。 それを見た他のゆっくりも恐怖で混乱し跳ね回っている。 再び爆発が起こり、ゆっくりは恐怖を感じる必要が無くなった。 広場は混乱の中に叩き落されていた。 爆発が起きるたびにゆっくりが2桁単位で殺傷され、辺りに餡を撒き散らす。 弾片で全身を切り刻まれ動けなくなったゆっくりれいむが呻いている。 親友ともいえるゆっくりを心配したまりさ種が砲弾で吹き飛ばされた。 仲間が次々と粉砕され、切り裂かれるのを見たゆっくりありすが全力で逃走する。 地獄のような光景を見て硬直したゆっちゅりーは仲間が自分のほうに突進してきてもその場から動けず、全力逃走中の仲間にひき潰された。 爆発で打ち上げられたゆっくりれいむがつかの間の空中散歩を楽しんだ後、重力の手により仲間のもとへと帰還、まだ小さいゆっくりがつぶされる。 母ゆっくりは子を殺したゆっくりに復讐しようと悲鳴に近い怒声をあげて着地したれいむへと突撃するが、次の瞬間爆発が起きて二匹ともあの世へ旅立つ。 砲弾は区別することなく広場に居る全ての生命に等しく死を与えていた。 母ゆっくりがチビゆっくりを口の中へと避難させているが、遅々として進んでいなかった。 最後の一匹を入れようと大きく口を空けたとき、悲劇は起こった。 天文学的な確率で母ゆっくりの口内へ飛び込んだ155ミリ砲弾は餡子をあっさりと貫通し、ゆっくりと地面の間に飛び出すと同時に信管を作動。 一匹のチビゆっくりの目の前で母と姉たちは破裂し、チビゆっくりは餡子の不細工な化粧をまとった。 他のゆっくりと同様、狂乱し叫びながら暴れ始めたがすぐにそれもできなくなった。 次に発生した爆発で母や姉の所へと旅立ったのだ。 一番悲惨だったのは黒大福と呼ばれるまりさだ。 3発目の爆発のとき何が起きたか分からなかったが、目前の惨状でニンゲンたちがゆっくりを殺そうとしていると気づくと脱兎のごとく逃げ出した。 4発目、5発目と当たることなく逃走し、もう少しで群れを抜けるというところで彼女の幸運は終わった。 黒大福の左右で同時に爆発が発生して爆圧で両側から押し付けられた為に気絶したが、次に飛んできた無数の弾片が両側から饅頭の皮を切り裂き、あまりの痛みにより意識が戻る。 体内の餡子が弾片に無茶苦茶にかき混ぜられた挙句、傷からの流出が始まりまりさは二度と跳ねることができなくなった。 それでも移動はできる辺り、彼女の幸運はまだ残っていたのかと思われたが、何者かに髪を引っ張られて動けなくなったとき、命運は尽きた。 「ゆ゛っ!ゆ゛っ!はなしてよ!まりさはひとりでゆっくりするよ!そっちはゆっくりしんでね!」 「ま゛…さ゛ぁ…ぁ…たす゛…てよ………ぉ…つれて………ぉ…」 「いやだよ!きもちわるいゆっくりなんかつれていかないよ!」 顔だけになった種を判別できないゆっくりがまりさの髪にくっついていた。 まりさは残った力を振り絞って頭を左右に振り、振り落とそうとした。 ズル…という音がして外れたと思ったとき、再び風きり音が聞こえた。 必死に這うまりさが群れを抜けたとき、彼女を追うように群れを外れた砲弾が飛来。 特殊な信管によりまりさの上9mで爆発し、その下にいる生物全てに破片の雨を降らせた。 まりさは全身という全身を破片に貫通され再び気を失ったが彼女にとっての地獄はこれで終わらず、流出により餡子が生命維持に必要な量を下回った時点で危険と判断した体がまりさの意識を再覚醒させた。 砲撃が始まる前にはゆっくりの体で埋め尽くされていた広場は今となっては黒い餡子が埋め尽くしていた。 僅かに聞こえる「ゅ…ゅ…」という音が、息があるゆっくりの存在を示していた。 生き残りを始末するために広場まで来た我々は、何箇所かある比較的原型を保っているゆっくりが固まった山に近づき、確認のために掘り起こした。 殆どの山で生き残りのゆっくりは瀕死のみだったが、ある山から元気な状態の子ゆっくりが20ほど掘り出された。 大型の個体が幾つか子供たちを囲うように絶命しており、複数の家族で互いの子供たちを守ったらしい事が見て取れた。 なんとも感動的だが、全く残念な事にこの努力は無駄な物となるのだが。 「おかあさん!おかあさんはどこ!?」 「おじさん!たすけてくれてありがとう!」 「はやくゆっくりできるところにつれてってね!」 「ほかのゆっくりもはやくたすけてね!」 「ゆっくりしていってね!」 攻撃したのが誰か分からないゆっくり達はこちらに無警戒だった。 うるさいので持ってきた透明ケースに分担して放り込み、閉じ込めた。 ゆっくりは怒った顔でケースを揺すり口を空けているが、何を言っているかは分からない。 防音性能は流石の物だった。 「あのいまいましい黒大福はどうなった?」 「見て下さいよこれ。こいつに相応しい末路ってヤツですよ」 あの憎き黒大福がとうとう年貢の納め時という事で見に行った。 帽子のリボンが特徴的な色をしているゆっくりが平べったくうつ伏せになっている。 間違いない、あの黒大福だ。 「ゅ…ゅっ…」 まだわずかに息があるようで、大福ボディが上下に動いているのがかろうじて見えた。 大福に足をかけて仰向けにひっくり返してやる。 黒大福は恨みがましい視線をこちらに向け、何とか判別できる声量で話し始めた。 「もう…い…でしょ…はやく…まりさをころして…ゆっ…りした…よ…」 「断る。なんで貴様を楽にしてやる必要があるんだ?死は逃げないからゆっくり楽しんでね!」 「……!」 黒大福は絶望した表情を見せながら痙攣し始めた。 どうせコイツはもうすぐ死ぬ、せいぜい苦しんでもらおう。 透明ケースの前で瀕死のゆっくりをかき集めた山を作った。 ケースの中のゆっくりは仲間を助けてくれると思って嬉しそうに跳ねている。 俺たちが山から離れたことには気づいてないようだ。 十分に離れたところで一人が円筒形の物体を取り出す。 ピンを抜いて瀕死ゆっくりの山へ放り投げた。 山頂に落ちると同時にテルミットに点火、アルミニウムが酸化金属から酸素を奪いながら激しく燃焼し山は高温で焼却された。 瀕死ゆっくりが物を言わない炭になった事を確認し、ゆっくりがガタガタうるさいケースを各々で蹴った後に持ち、その場を離れた。 あいかわらず虐殺してるだけのSSです。進歩ないね。 by sdkfz251 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3779.html
俺設定が結構含まれています、注意してご覧ください 後ゆっくり虐待といえる部分がかなり少ないです、投棄所に行くほどではないと思いますが虐待目的で読むにはお勧めしません。 そのころ、人間は今ほど発達した文明を持っていなかった。 人間は皆、毛皮そのものといった服を着て男は山で狩りをし、女は木の実を取って暮らす、都市と呼べるものは無く、数十人単位の集落の集まりが山や森の間に転々としている、縄文時代、そんな時代だ。 ゆっくりが何時ごろから現れたのかははっきりとわからない、ただ、このころにはかなりの数のゆっくりが人間の集落のそばに生息していたらしい。 「おじさん!おじさん!!あっちにしかさんがなんひきかあつまってたよ!!かりをするならあっちにいくといいよ!!」 今であれば猟師が狩りの最中にゆっくりを見れば邪魔だから追い払うか、殺してしまうだろうがこのころはそうではなかった。 人間は山や森の動物を狩って食べていたがゆっくりはその生首そのもののフォルムと人語を喋ることから人間は彼女らを食べる対象だとは思っていなかった。 ほとんどの人間は(自覚は無いかもしれないが)ゆっくりを妖精や、神の使いの一種のようなものとして見ており、邪険に扱うようなことは無かった。 ゆっくりは人間をどう見ていたかはわからないが、人間の狩りが成功すればいつもなら自分達が食べれないものが手に入ることがあるので人間の邪魔をせず、 むしろ人間に獲物や木の実の情報を与え、その後を付いて行き、静かに見守るのが常だった。人間達も妖精たちが見守っていてくれると信じ、狩りに精を出す、 そして狩りが成功すればその成果の一部を「自然へのお返し」として残して行き、それらはゆっくりや他の動物の餌にもなっていた。 ゆっくりと人は、お互い相手に対して思っている感情は違っても相手を殺戮したり、虐待したり、憎しみあったりということはほとんど無かった。 そんな時代が数千年間続いたころ、人間達の生活に大きな変化が起きた。 遥か遠く、海のかなたから流れ着いた男が帰る手段が無くなり、ある集落への移住を決めた。 集落では男は皆狩りに行く決まりだったが、その男は狩りに行こうともせず、集落の人間に沼地や湿地の場所を聞きだすと変な粒を蒔き、草をはやしてそれをいじくっている。 集落の人間たちは狩りをしないこの男をうっとおしくも思ったが、言葉もほとんど通じないし、自分達の暮らしにまだ慣れていないんだろうと思うだけだった。 そして、秋が訪れた。 当時の人々には実りの秋なんて言葉があったかどうかはわからないが、この年は不作だった。 いつも人々が採集していた木の実は数が少なく、鹿などの動物を狩りに行ってももほとんど成果が上がらなかったのである。 「今日も成果はなしか・・・」 そうつぶやきながら集落の男達が帰ってきた。 獲物が取れなかったことを集落の皆に伝えなければいけないと思うと心が痛む・・・ そのとき、集落のはずれのほうから今まで嗅いだ事のない良い匂いがしてきた。 あの男だ、あの男が焚き火のそばでよくわからない白いものと黒っぽいものをうまそうに食べている。 こちらに気づいた男が身振り手振り交じりで訴えかけてきた 「おなかすいているんだろう?きみたちも食べるかい?」 危険で、成果の出ないときもある鹿を狩るのはもう古い、これからは確実に成果を出せて、危険も少ない稲作とゆっくり狩りが自分の故郷の生活だ。 そうその男は行った。 「おじざんやべでえぇぇぇぇ!!」 「どぉじでごんなこどずるのおぉぉぉぉお!?!?」 「でいぶのあがじゃんがえじでぇぇぇえ!!」 「おじさん!きょうはあっちにしかさんがいっぱいいたよ!!」と、話しかけようとしたそのまりさは頭をつかまれたかと思うと有無を言う前にかごの中に放り込まれた。 あるゆっくりは巣の中で寝ているといきなり木の棒を突き刺されて、痙攣しながら引きずり出された。 あるれいむは目の前で子供を返せと怒鳴っていると子供と一緒にくしで刺された、彼女は人間の胃に収まっても子供と一緒だろう。 精霊崇拝とか、神秘主義による、自然の恵みに感謝する。そんな考えがが宗教といえた彼らにとって、つい最近まで崇拝の対象といえたゆっくりも一口その味と捕獲の容易さを知れば単なる獲物に変わらなかった。 それ以来、この集落は急速な発展を遂げる。 今まで不安定な狩りに頼っていたのが、より安定した稲作を覚え、今までに無い「ゆっくり」という嗜好品を得たこの集落は急発展し、周囲の集落を吸収して行き、ついに大国となっていった。 もう、彼らの中に過去にゆっくりと共存していたことを知るものはいなかった。 ゆっくりは人間より早く共存の歴史を忘れてしまった、だが、ゆっくりの特製の一つ、あんこを通じ記憶を遺伝して行くという特徴からか 人間に裏切られた怒りや悲しみだけは数千年たっても忘れることなく、今日も一部のゆっくりがその感情に突き動かされて人間に対し挑発をし、物を奪おうとする。 それはゆっくり個人にとって見ればなんとなくな行為であっても。数千年にわたる悲しみと怒りに突き動かされれ人間に復習しようとしているのだ。 それが私の「ゆっくりが明らかに勝ち目のない人間にけんかを売る」「人間を馬鹿にしたようなことしかしない」理由の考えだ。 ここまでレポートを書いて、私はパソコンの電源を切った。 ゆっくりと人間がお互いをどのように思っていたのか、今でははっきりとはわからない。 でもあの時代にはお互い、意思の疎通も出来たおかげである程度の信頼と共存関係が成り立っていた。 そんな相手を片方の都合だけで関係をぶち壊し、数千年にわたる禍根を残す・・・人間とはなんと愚かな種族なのだろうか? あとがき 最近シヴィラゼーションにはまって(はめられて)文明の発達とか、そういうものに興味が出てきました。 なにぶん久しぶりのSSなのでいつもに輪をかけて読みにくかったり、寝た被りをしていたりするかもしれませんが、そこには目をつぶってください・・・ 最近虐待ネタが浮かんでこないので、次はドロワSSだ!! とか意気込んでもエロなんてかけません。 3月8日 2011 セイン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/542.html
「おかえりなさい!ご飯にする!?ライスにする!?それともお!こ!め!?」 男が会社から帰ると、玄関にひとつの饅頭が出迎えてくる。動くため、むしろ一匹のというべきか。 この子はゆっくりれいむ、ゆっくりと呼ばれる動く饅頭である。今では男の家の居候として生活している。 男が家から帰ってくるとその柔らかい体の弾力性を生かしてぴょんぴょん跳んで来る。 あまりに速く跳んでいるので、着地のたびに体がぺたり、ぺたりとつぶれている。 よっぽどうれしいのだろうか。 男の足元にまで来ると、すりすりとほっぺたを男の足に摺り寄せてくる。 「ただいま。いい子にしてた?」 「れいむゆっくりしてたよ!きょうはおともだちのまりさとあそんだんだ!」 「そう、よかったね。ゆっくりできてよかったね。」 れいむは男が帰ってくるととてもうれしそうにする。男はなつかれるてうれしいことはうれしいのだが、最近少し困っている。 「おにいさん!おなかすいてない!れいむたべる?おいしいよ!」 そう、ここの所れいむは自分を食べてもらうように催促してくる。今も顔を赤らめて「さあ、おたべなさい!!」と叫んでいる。 男は笑いながらその要求を軽く流す。 「今日はお米にするよ。チャーハンを作るから一緒に食べよう。」 れいむはしょんぼりと残念そうな顔をするが、すぐにいつもの陽気な顔になると、 「おにいさんのちゃーはんすき!れいむおてつだいするね!」 気を取り直して男の手伝いをする。れいむは食材と食器を運ぶ程度にしか役に立っていないのだが、 男は手伝ってくれるだけでもうれしいようで、仲良く料理をする。台所から「ゆっゆっゆっくり~♪」と歌が聞こえる。 できた料理を一緒に食べる。一人と一匹はとてもご機嫌だった。 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー!!」 ゆっくりれいむが自らを食べさせようとした理由は、ゆっくりの性質によるものだった。ゆっくりは基本的にお馬鹿で我侭ですぐに調子に乗るが、 誰かに恩を受けるとそれを返そうとする義理堅い一面もあった。それが恩人に自らの餡を食べてもらうこと。ゆっくりは再生力が強いので、 少し食べられた程度ならすぐに回復する。けれども痛みは感じるので、それなりの覚悟はいる。あのゆっくりれいむも、内心では震えていた。 だが、恩返しのゆっくりの餡はとてもまずい。その理由として苦痛を与えたゆっくりの餡はまったりと程よく甘くておいしいが、 愛情を受けたゆっくりの餡はべったりと甘すぎて、とても食べられたものではないためである。もしこれが逆であったらどれだけ多くのゆっくりが幸せな生活を送れるだろうか。 最も、ゆっくりに愛情を与えるような人はゆっくりの餡を食べることに抵抗がある人ばかりなので、 結局恩返しの餡は受けいられず、殆ど食べられることはなかった。 そんなある日の事、男が友人を連れてきた。れいむはお客さんを歓迎する。 「いらっしゃい!ゆっくりしていってね!」 客はいきなりの歓迎に驚いた。同居人?がいるなんて聞いていないためであった。 「このゆっくりどうしたの?」 「昔行き倒れていたから家で手当てをしたんだよ。そのときに情が移ったもんだから出て行くところを引き止めちゃってさ。 それ以来の付き合いさ」 れいむはお客さんに失礼がないように出迎える。リビングに案内した後、体をお盆の代わりにしてお茶とお茶菓子を持っていく。主人の客は大事にしなければならない。 「ありがとう。頭いいね。この子」 客はれいむの頭を撫でる。れいむはうれしかった。 「ゆぅ~~♪」 「あまりほめてはだめだよ。こいつはすぐに調子に乗っちゃってやりすぎちゃうから。大量のお茶とお菓子が運ばれてくることになるよ。」 そうはいいつつも男は笑っていた。れいむが男の近くに擦り寄っている。今は膝の上に乗って目を閉じてゆっくりしている。 男はまんざらでもなさそうだ。 そのとき客も口元は笑っていたが、目は笑っていなかった。 「今日は酒でも飲もうか。これから買出しに言ってくるからここでゆっくりと一緒に待っていてくれないか。 だいたい一時間位したら戻るから。」 そういうと男は友人とれいむを残して出かけていった。後に残ったのはれいむと友人のみであった。 「おきゃくさん!いっしょにゆっくりしようよ!」 そう言って客に笑いかけるれいむ。その顔には微塵の警戒心もなかった。そう、全くなかった。 ゲシッ! そのため、れいむは一瞬自分が何をされたかわからなかった。空中を飛んでいる。跳んでいるのではなく飛んでいる。 れいむは蹴り飛ばされていた。 「ゆぎぃ!!」 壁に叩きつけられてようやく何をされたのかわかった。その顔には痛みや驚きより、なぜ自分が蹴られたのかに対する疑問が占めていた。 「おきゃくさんいたいよ!どうしてこんなことをするの!おきゃくさんはゆっくりできないひと!?」 客人は汚物でも見るような目をれいむに向けると 「うるさいわよ。饅頭ごときが人間様に口答えするんじゃないわよ。油で揚げ饅頭にしてやろうか」 客は飼い主の男がいなくなったとたんに態度が豹変した。さきほどまでの友好的な様子はどこにもない。 「だいたいさぁ、おまえ馴れ馴れしいんのよ。なんでお前があの人にあんなにすりよるんだよ。理由を言ってみなさいよ?」 「なんでおにいさんといっしょにゆっくりしちゃいけないの!?れいむおにいさんのことだいすきなんだよ!」 れいむはそういわれても何が悪いのかわからなかった。何か悪いことをしたらお兄さんに叱ってもらえ、 きちんとしつけられてきたためである。そんなお兄さんの近くで擦り寄って何がいけないのだろうか。 客はれいむに向かって憎々しげに吐き捨てる。 「それが問題なんだよ。あの人はお前のことを迷惑がっているのよ。こんなに暑いのにべたべたしてきて気味が悪いって」 客はれいむの心を抉る。最も大事な部分をひたすら抉る。男がれいむを嫌っていたのは嘘だったが、 客はれいむを傷つけられればなんでもよかった。 客は男に好意を抱いていた。そんな中、仲良く擦り寄るこの目の前の饅頭に嫉妬していた。 「うそ・・・・・うそだよ!おにいさんそんなひとじゃないよ!れいむをたすけてくれたんだよ!おにいさんってとってもいいひとなんだよ!」 れいむの頭にお兄さんとの思い出が蘇る。行き倒れていたところを助けてくれたお兄さん。一緒に遊んでくれたお兄さん。 悪いことをしたら叱られたけど、そのおかげでれいむは悪いことがどんなことかわかった。 毎日お風呂に入った後に髪の毛をブラッシングしてくれるのがとても好きだった。 いつかお兄さんに食べて欲しい。お兄さんのおかげでれいむは幸せだから。だからその恩返しをしたい。 「ああそうだ。それと前相談を受けたんだけどさ、おまえ自分をあの人に食べさせようとしているらしいじゃん。私が見るにあんたってすっごくまずそう。気味悪。」 「おにいさんがそだててくれたんだよ!れいむまずくないよ!おにいさんをばかにしないでよ!!」 れいむにとって自分の味を馬鹿にされることは育ててくれたお兄さんの侮辱だった。目の前の客が敵であると認識する。 十数分前の和やかな雰囲気はすでに失われていた。 「いや、あんたの主人を馬鹿にしているわけじゃないんだよ。その主人があんたを食べないことっておかしくない? つまりあんたはまずいんだよ」 れいむの主人がれいむを食べない理由は餡子の味ではなく、彼が元々餡子自体食べられないことと、 愛するれいむを食べることに抵抗があったためだった。しかし客はそれを知らないれいむを罵倒する。 客は嘘であっても目の前の饅頭は単純だから、すぐに騙されるだろうと思っていた。 「う・・・・・・・あ・・・・・・・・ぁ・・・・・・・ュ・・・・・・・ぅ・・・・・・・・・・。」 れいむは言われてみてようやく気づく。そう、その愛する主人にれいむは食べられたことがない。 いつも誘っているのに。食べられるときは痛い。自分の餡子を誰かに無防備にするのはすごく怖い。 だけど、お兄さんには食べて欲しい。れいむはふざけているような誘い方をするけど、 本当はすごく怖かった。痛いのは嫌だった。それでも、食べて欲しいという気持ちは変わらない。 でもお兄さんはいつも食べてくれない。 「何回でも言ってやろうか。おまえはまずい。まずいから食われない。わかりやすいだろう。 そうだ、なんだったら私が食べてやろうか。味見をしてやるよ」 客は嫌がるれいむを無理やり抱え、かじりつこうとする。れいむは近づいてくる顔が怖かった。 「やだよ!やだったらやだ!やだやだやだぁ!ゆっくりやめてね!おねがい!ゆっくりやめてよ!おにいさんだけ!れいむをたべていいのはおにいさんだけだよ!」 食べられることには覚悟がいる。好きな人以外には食べられたくなかった。 「ゅ・・ぁ・・ぁ・・・」 けれども抵抗むなしく、れいむの頬にがぶりとかじりつく客。そこには何の気遣いも無かった。 れいむの頭にはお兄さんに食べてもらうときの想像が頭をよぎった。 おにいさんだったらどう食べてくれたかな。あのお兄さんだったらもっとやさしくちょび、 ちょびと外の皮を食べて、中の餡子はなめるくらいかもしれない。あまりたくさんは食べないだろうな。 れいむが怖がることをきっとわかってくれるだろうから。 初めて食べてもらうのはおにいさんがよかった。 でも、もう無理・・・。 「うげぇ、まっじぃ。なにこれ・・・・・。甘すぎ・・・・・・・・・・・。 ここまでまずいゆっくりの餡は食ったこと無いわ・・・・・・・・・。ごめん、ちょっとトイレ」 客はトイレに駆け込んだ。あまりの甘さに気持ち悪くなってしまったのであろう。あたり前の事だった。 このれいむはたくさんの愛情を受けて育ったのだから。れいむは泣いていた。食べられたのがお兄さんでなく嫌いな人で、しかもまずいって言われた。だからお兄さんも食べてくれなかったんだ。れいむがまずいから。 「いや~、ごめんごめん。吐いちゃった♪しっかしここまでとは思わなかったわ。今度から友達と罰ゲームするときにはいいかもね。」 客は何にも悪びれた様子はなかった。 「もうかえってよ・・・・・・ゆっくりさせてよ・・・・・・・・・・・・・・。」 れいむの目から生気が失われていた。 れいむはもうひとつのことしか考えられなかった。れいむってまずかったんだ。それだけだった。 「ねぇ、おいしくなる方法を教えてあげましょうか・・・・・・。まずいまずいあんたがおいしくなれる方法を。」 れいむはおいしくなれるという言葉に反応した。おいしくなれる。おいしくなれればお兄さんが食べてくれる。 れいむは目の前の希望にすがりついた。 「なに・・・・・。ゆっくりおしえてね・・・・・・・・。れいむなんでもするよ・・・・・・・・」 その目は虚ろで生気がない。けれども愚かな饅頭は目の前の餌に食いつくしか選択権がなかった。 そしてそれがれいむを更なる地獄に落としていく。 「あんたがまずいのはね、辛い思いをしていないからなのよ。つまり今までのほほんと暮らしすぎたの。 苦労してないのよ。生き物はね、苦労して苦労して、ようやく一人前になれるの。あんたは甘やかされすぎ。 だからいっぱい痛い思いをしないとだめ」 れいむは考える。そうだった。いつもお兄さんを朝にゆっくり起こして、一緒にご飯を食べて、外で友達のゆっくりと遊んで、 おうちに帰って、お風呂に入れてもらって、ブラッシングしてもらって、一緒にご飯を作って、食べて、遊んでもらって、 ゆっくりして、一緒に寝て。 いつも幸せだった。だかられいむはまずいのかな。 「だからぁ、これ何かわかる。そう、ライターよ。これで今からあんたの事を焼き饅頭にするから。ゆっくり頑張ってね。死にはしないから大丈夫よ。そうすればお兄さんもあんたを食べてくれるわよ」 れいむに選択権はなかった。れいむは知っている。 ライターは火をつける道具。火はとっても怖いもの。 熱くて、痛くて、焦げる。焦げた食べ物はまずかった。 だけど、おにいさんが食べてくれる。その言葉にれいむは反応する。食べてもらえるんなら、痛い思いをしないとだめだ。 「いいよ・・・・・ゆっくりやいてね・・・・・・・・・」 れいむは涙目だった。体はぶるぶると震えていた。 客はその様子を見て満足そうにため息をつくと、ライターの炎をれいむの体に焙った。 「ゅぅっ・・・・・・ゅぅっ・・・・・・・・・っ・・・・・・・・・・・ゅ・・・・・・・・」 ちらり、ちらりと火を近づけては遠ざける。客は反応を楽しんでいた。れいむは涙を流しながら歯を食いしばって耐える。 息まで止めていたので顔は真っ赤だ。れいむは目の前の大嫌いな人に大声を上げてみっともないところを見せたくなかった。 「ほらほら、これくらいじゃ足りないかな。れいむちゃんのためにもっと熱くするね」 ライターの火を近づける時間を増やす。それだけの事だった。 たったそれだけでれいむは耐えられなくなる。 「ゆぐぅっ!あづ!ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅぅ!!」 その悲鳴は聞くにたえなかった。誇りも意思も、そんなものは片っ端から崩れ去っていった。 「ほらほら、それくらいでないちゃだめだぞ。みんなはふつうこれくらいでないたりはしないよ。」 ライターの火を直にれいむの体に当てる。当てられたところから黒く変色していく。焦げていた。真っ黒に 「あ゛づっあ゛べぇ゛ぉだずげでぇひ゛ぃぃい゛い゛ぃあ゛゛あ゛ぁあ゛ぁあ゛いだい、も゛う゛や゛べでぇぁ゛ぁぁあ゛ぁっ!」 れいむはグロテスクな悲鳴を上げる。それは例えるなら折れる心が奏でるオルゴール。 絶対に泣いたりはしないと誓っても、所詮は饅頭だった。人間でさえもひざまずかずにいられるかわからないのに。 ほかほかに熱せられるのが本来の役割。今、このときれいむは饅頭としての使命に一歩近づいたのだった。 「じゃあ、味見をするね。いっただきまーす」 客はそういうなりかじりついた。火を当てたあの場所に、焦げも気にせず噛りついた。 れいむはもう反応する気力がなかった。まるで並べられた魚のように無反応だった。 客はもぐもぐと咀嚼をする。味わっているのだろう。 少し微妙な顔をしたが、さっきのようにこの世の終わりのような顔はしていない。 「う~ん、ようやく食べられるようにはなったってくらいか。ほんの少しだけおいしくなったね。 でも、これからもっといたい思いをすればおいしく食べられるようになるよ。」 愛情を受けたれいむは餡の隅々まで甘くなりすぎていた。痛みをくわえてようやく甘みが抑えられ、 塩味が効いてきたくらいだ。本当においしくなるにはまだまだこれくらいでは足りないだろう。 「ほんとう?れいむおいしくなった・・・・・・?」 れいむはぱぁっとおいしくなったという言葉に反応する。おいしくなった。おいしくなった。 れいむはこれが自分に足りないものだと思った。つまり、もっともっと痛い思いをすれば、泣けばお兄さんは食べてくれる。 「・・・・・・・おねがいします・・・・・・・・れいむをもっとおいしくしてください・・・・・・・・・・ おにいさんにたべてもらえるようになりたいです・・・・・・・・・・・・・・・・何をしてもいいです・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 客は満足げにうなづいた。これから憎い憎い饅頭を痛めつけられるとはなんともいえない喜びだった。 しかも目の前の饅頭は自分の事を完全に信用していた。これならたっぷりと遊べる。 かくして、れいむはこれより今までの幸せな日々とは別れ、苦痛の日々を送ることになる。 いや、愛するお兄さんに食べてもらえることを目指すので幸せともいえる。こんな幸せの形も世の中にはある。 しばらくして男が帰ってきた。何も知らずのんきなものだった。 「ただいま~、今帰ったよ。あれ、れいむ元気ないね。何かあった。」 「なんでもないよ・・・・ゆっくりしていってね。」 「ああ、ちょっとれいむちゃんと遊んでてさ。遊びつかれちゃってね。」 れいむの体は再生していた。何も攻撃手段を持たない弱い生き物ゆっくりだ。 こういったところだけは長けている。あのやり取りの証拠はどこにもない。 「ふ~ん、ならいいか。じゃあ乾杯しようか。そういえばれいむにはいってなかったけど、 こいつこれから家に住むから。何でも小説家を目指していてこっちに上京してきたんだって。 だからおれが留守の間はこいつと仲良くやってね」 これかられいむは毎日おいしくなれる訓練を受けることになる。 今日のようにたった数分火にあぶられるだけではない。もっともっといろんな痛いこと。苦しいこと。 「そういうわけよ。よろしくね。れいむちゃん。」 「ゆっくりしていってね・・・・・・・・・・」 そういうとれいむは力なくうなづいた。れいむは完全に折れていた。 目の前の人は嫌いだったけど、おいしくなるためには言うことを聞くしかなかった。 「ところでおまえ、ここに住むのはいいけど、その女言葉になる癖、いい加減になおしたほうがいいぞ。 男の癖に誤解されんぞ。ノーマルだって言ってただろ。」 男は目の前の筋骨隆々な客に指摘する。 この場にある様々な思惑、知らずは本人ばかりなり。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/790.html
書きたかった事 チル裏ログ198の話題から 『全ての虐待作家の虐ゆっくりが同じ世界にいる設定のssがあったらどうなるだろう。 』 というわけで自作のゆっくりを大集合させてみるよ 注意点 もちろん俺設定注意 貨幣価値をおおよそ現代レベルに設定してあります これまで自分が書いたSSに出てきた変わったゆっくりが出てきてます こちらから読んでも問題ないと思います とってつけたような虐待 作者 チェンマガツ うちではゆっくりれいむを飼っている。 ゆっくり屋と呼ばれるゆっくりに関する物をなんでも揃えている店で飼いゆっくり用として売られていたゆっくりを購入したのだ。 最初の頃の苦労を思い出さなければ、れいむとは概ね良好な関係を築けていると思う。 一匹飼い始めると、二匹三匹を数を増やしたくなるのがゆっくりを飼う人の心理だろう。 もちろんゆっくりの性格や行動から一匹でもつらいという人はいるけど。 最近ではれいむも一人では寂しいと言って止まないので、今日はこうしてゆっくり屋に足を運んでいる。 「いらっしゃいませー」 店に入るとと従業員達の明るい声で迎えられた。 店内は中央に様々なゆっくりグッズ、ゆっくりと遊ぶための道具から虐めるための器具まで取りそろえている。 同じ空間にそれぞれが並んでいるところに人間に対するゆっくりの二面性がよく見て取れる。 うちのれいむにも何か買ってやろうかとも思ったが、今日はこっちのスペースよりも店の奥のガラスケースが陳列してあるスペースに用があることを思い出しそちらに向かう。 店に入ってから騒々しい声が聞こえていたのは分かっていたが、ここに近づくと改めて騒がしいと思う。 口々に「ゆっくりしていってね!!」と言っているのはわかるがどいつが言っているのか全く判別付かないほどだ。 ここには様々な種類のゆっくりを取りそろえてある。 ゆっくりの種族はもちろん、赤ゆっくりから成体ゆっくり、はたまた飼い用や餌用と品揃えはかなり多くなっている。 餌用ゆっくりとはいうものの、実際の所はゆっくりを餌として必要なゆっくりを飼っている人は自分で繁殖させていることが多い。 ということはつまりほぼ虐待用ゆっくりということだ。 余談はさておき近くにいた店員を捕まえて新たに購入する飼いゆっくりについて相談することにした。 「すいません、店員さん」 「いらっしゃいませ〜、なんでしょうか?」長い髪を後ろで一つに束ねた清楚な雰囲気の女性の店員だ。 「今うちに一匹れいむを飼ってるんですけど、もう一匹新しく飼うのに良い奴はいませんか?」 「それはお客さん良いタイミングでいらっしゃいましたね!!」 「どういうことです?」 「今日いっぱい変わった子を入手したんですよ。どの子もかわいいんで案内するんで見ていってくださいよ〜」 「それは良かった是非お願いします」 「はい、こちらからどうぞ〜」 店員さんは変わったゆっくりを紹介してくれるようだ。 たしかに新しく飼うのに普通のまりさなんて飼っていても面白味に欠けるのは明白だ。 少し興味が湧いたので店員さんの後を付いていく事にした。 まず店員さんと見て回ったのは赤、子ゆっくりのケースがならんだコーナーだ。 「この子はたぶんすぐ売り切れちゃうと思うんで早い者勝ちですよ〜」 そう言ってガラスケースから出された子ゆっくりはパッと見ただけだとただのゆっくりちぇんだった。 「こいつは普通のちぇんじゃないんですか?」 そう尋ねると店員さんはそのちぇんの顔をこちらに向けてくれた。 「この子の目をよ〜く見てください。ほら、猫の目してるでしょ!」 「おおお、確かに」 目の前に差し出されたちぇんの瞳はどう見ても縦長で普通の猫の目と同じ形だ。 「それに少し話し言葉も変わってるんですよ。ちぇん、ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってにゃー」 「うはあ、かわええ。でもなあ……」 なんだこの破壊的な可愛さは。これは確かに飼いたくなるもとい買いたくなる。 だがしかしこいつを飼い始めると間違いなくれいむはお払い箱だ。 あくまで多頭飼いを目標にしているからそれでは困るんだよなあ。 「ちなみにこいつはいくらなんです?」と恐る恐る聞いてみる。 間違いなく人気商品になるであろう猫目ちぇんだが、せいぜい普通の子ゆっくりの二倍くらいだろうと思っていた。 「この子は15,000円になります」 「なん……だと……」 そこらの子ゆっくりなら300円から高くても3,000円のところを優にその五倍の値段を提示されて驚く。 「人気もあるんですけど、希少価値も含めての値段なのでどうしても高くなっちゃうんですよ〜」 「ぐぐ、それは仕方ない。可愛いけどうちで飼うには可愛すぎて不都合だしな」 「それじゃ、次の子にいきましょうか」 ちぇんはそっとケースに戻される。ちぇんはケースの中でも笑顔でくるくる跳び回っている。 それにしても最後まで可愛らしいやつだったな。 次に案内されたのはケースの棚を背にした位置にあった膝の位置にも届かない低い柵に囲まれたスペースだった。 しかし見たところそこにはぐちゃぐちゃになった毛布しか見当たらない。 「えっと……」 「お〜い、みんなゆっくりしていってね〜」 店員さんはしゃがみ込んで何もいない空間に向かって挨拶をする。 するとどうだ乱雑に置かれていた毛布が動き始めたかと思うとそこからゆっくりらしからぬ速さでゆっくり達が近づいてきた。 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「うわぁ……」一体この気持ちをどう表現すればいいのだろう。 「気持ち悪いですか?」 「わかります?」 「私は、個人的にですけどとてもかわいいと思うんですけどね〜」 そう言って一番手前にいた変わった形のれいむを持ち上げる。 こいつらの姿をどう形容すればいいのだろうか。丁度麦わら帽子の丸い部分がそっくりゆっくりの顔に置き換わったようだ。 その帽子のつばの部分がうねうねと動いている。 「この子達はですね。跳ねなくなった代わりに速く這うようになったゆっくり達なんですよ〜」 にこやかに説明してくれる店員さんには悪いが、正直こいつらは飼いたくないな。 「ちょっと柵を作ってやれば動けなくなるんで飼いやすいですよ?」 「でもこいつと普通のれいむとじゃめちゃくちゃ相性が悪いですよね」 「そういえばそうですね〜。きっとゆっくりしてよーってなっちゃいますね〜」 こいつらの速さならきっときめえ丸との相性は抜群だろう。 だが如何せん気持ち悪い。 「ちなみにこの子れいむは4,500円、そこの赤まりさは200円になります〜」 まあおそらく飼う事はないだろう。 ふと隣のケージを見てみるとこちらの様子とは全く真逆の様相を呈していた。 過剰なまでに高い柵によりすでに檻のようになっているケージの中に子ゆっくり達が眠っていた。 「やっぱり気になっちゃいますよね〜」 こちらの心を読んだように店員さんが話しかけてきた。 「そちらで寝ているゆっくり達も新しく入荷した変わったゆっくり達なんですよ〜」 とはいうものの見た目では普通のゆっくりと変わらないゆっくり達にこの柵は必要なんだろうか。 「そしたら起こしてみましょうか。ゆっくりしていってね〜」 「「「「ゆゆゆゆ」」」」すると次第に中にいたゆっくり達が目覚め始める 「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」 「ここまでは普通のゆっくりですね」 「ええ、そしたらこの子達の特徴を直に見て貰いましょうか」 そう言って店員さんがポケットから棒状のゆっくりフードを取り出した。 そしてそれを腰の高さの位置で柵に固定した。 「ほらご飯だよ〜」 しかしその位置では子ゆっくりにはどうやっても食べる事は出来ない。 飛んでも、跳ねても、舌を延ばしても無理だろう。 ところが目の前の子ゆっくりまりさは一度のジャンプで膝くらいまで跳躍し、着地するとゴムボールのように跳ねてゆっくりフードにかじりついた。 「この子達はさっきの子達と逆にものすごく跳ねるんですよ」 なるほど見てみれば赤まりさも赤れいむも跳ねるたびにその高さを増していっている。 「それにこの子達は衝撃に強いから不意の事故にも強いんですよ〜」 店員さんはケージを開いて、高く飛んでいた一匹の赤まりさに思いっきりデコピンをしてみせた。 普通の赤ゆっくりなら間違いなく致命傷になるレベルの攻撃だ。 いきなりデコピンされたその赤まりさはケージ中をスーパーボールのように跳ね転がった。 「どうじでぞんなごどしゅるのー」 「調子に乗って高く跳ねてたらゆっくりできなくなるって何度も言ったでしょ、めっ」 確かに少々高いところから落ちても平気になったが、高くなりすぎるとやはり死んでしまうくらいのダメージを受けるのだ。 「自滅してたんじゃ世話無いですね……」 「だけど大人になれば家の中じゃ死ぬ要素はほぼなくなりますよ〜」 「それなら飼いやすいかもしれないなあ。この子達はいくらなんです?」 一応買う候補に入れるために値段を店員さんに聞いてみた。 「子ゆっくりなら3,000円で赤ゆっくりで200円です〜」 「それなりの値段か。こいつは候補に入れておこうかな」 「よろしくお願いしますね〜」 「あのちなみにこの赤、子ゆっくりのコーナーで一番高いゆっくりはどいつになるんです?」 「それならあの子しかいませんね〜。見てみますか?」 「絶対買わないだろうけど興味はあるからね」 「ではこちらにどうぞ〜」 連れてこられたのは再びゆっくりが入っているガラスケースが陳列してあるスペースだ。見るからにゴージャスな内装で高級感を醸し出しているケースのなかにそいつはいた。 「生まれたての赤ぱちゅりー……ってゴールドバッジをしているじゃないか」 「生まれながらにして優良ゆっくりに認定された卵生ゆっくり五代目のぱちゅりーです」 何年も人間と一緒に過ごして飼い主とゆっくりがとてつもない苦労をしても簡単には得ることができないゴールドバッジを小さい帽子に光らせながら赤ぱちゅりーは静かにこちらを見ている。 「一人称をわたしに変えることもできます。もちろん呼び名を変えても適応できます。 簡単な漢字くらいまでなら記憶できるそうです。健康状態に至っては言わずもがなとても良好なゆっくりぱちゅりーです。」 店員さんが人間関係のルール云々に触れない辺り、当然ルールは守るということなのだろう。 きっと様々な芸も覚える事だろう。いよいよ末恐ろしい赤ぱちゅりーだ。 「ちなみにいくらです?」おそるおそる聞いてみた。 「十万円になります」 「赤ゆっくりが十万……」 通常の飼い赤ゆっくりが50〜100円で販売されているのを考えればとんでもない金額だ。 「遠慮しておきます」 「わかりました〜」 「このコーナーでは変わったゆっくりはこれくらいですか?」 「そうですね〜。あとは大人ゆっくりのコーナーに三体ほどいますのでそちらも見てみますか?」 「あ、よろしくお願いします」 というような会話をしながら二人で成体ゆっくりのコーナーにやってきた。ここにはガラスケースに納められたゆっくりはおらず、すべてケージに入っている。 よくよく考えたら今更面倒なしつけをするくらいなら成体のゆっくりを買った方がいい。 まあしつけされた分値段が上がっているだろうがあの苦労と比べればどっこいどっこいより値段のほうが勝る。 それにうちのれいむはもう成体なわけだし、番になるようなゆっくりを連れて帰った方が喜ぶかも知れないな。 しかし最初に紹介されたゆっくりはどう見てもありえないゆっくりだ。 「その名もプチドスまりさです。ドスとは名前がついてますがこれ以上は大きくなりません。あとただのでぶまりさとも違います」 目の前にいるのは体長でうちのれいむの二倍くらいあるだろうか。体積ならざっと八倍ある計算になる。 「巨大に変異したわけではなく、ドスになるプロセスの解明によるドスの縮小化と思って貰うとちょうどいいかもしれません。頭も結構良いですよ?」 「しかし普通に家の中で飼うにはでかすぎるな」 「そうかもしれませんね〜。それにただ飼うというよりは闘ゆっくり向けのゆっくりですので」 なるほどと思う。重量級の体当たりをメインとした戦い方をするゆっくりに育てたりするのだろうな。 「それにこの大きさじゃ餌が大変でしょ」 「それがネックなんですよね〜。通常の五倍から十倍は必要と考えてもらわなくちゃいけません」 それ故あまり買い手も付かないのだろう。 仕入れたばっかりのくせに帽子に付けられた値札には五万円の数字に横線で修正され、五割引と書かれ、値頃感を出された価格設定になっている。 「たぶんこの子自体は繁殖用に使われるんでしょうね。ささ、次を見てみましょ〜」 プチドスまりさの説明は簡単に終了した。 次に見たのはこれまたパッと見るとただの成体まりさだ。 「こいつはきちんと教育しているまりさとか芸達者なまりさですか?」 「う〜ん、そういった普通のまりさではないんですよ〜」 ちょっと実演してみますねといって店員さんはケージの柵を跨いで入り、まりさに近づいていった。 「おい雌豚ぁ!!」 何事だ店員さん。いきなりのことに目が丸くなった。 さっきまで笑顔を振りまいていたのを急変させまりさを蹴り上げながらさらに罵る。 「なんでゆっくりしてんだよ。豚は豚らしくブヒブヒ言いながら動き回ってろ!!」 「ゆゆっ、もっと蹴ってぶひー」 「主人に命令するったあどういう神経してんだ!!」 ドゴォッという効果音が付きそうなほどの店員さんのすばらしいローキック。 まりさを宙に浮かすことなく衝撃をすべてまりさに蓄積させる技術には舌を巻くしかない。 「ぶひーぶひー」まりさは涙を流しながらも幸せそうな顔をしている。 「これはひどい」 率直な感想だがまりさはそれにも反応して喜んでいる。 「というようなゆっくりまりさです。ドMまりさってところですかね」 「教育というより調教しちゃったわけですね」 「そういうことです。この子に普通に接したら虐待になっちゃうんで心を鬼にしてやらないとダメなんですよ〜」 それもそれだがと思いつつ需要はあるんだろうなと値札の三万円を見て思う。 「子ゆっくりの躾け用に駄目な事をした本人にはこのまりさを痛めつける様子を見せつけるという飼い方もできますよ〜」 「うちのれいむがまだ子供なら良かったけどもう成体だしなあ。これも遠慮しとこう」 「それでは次のゆっくりを見てみましょうか」 やはり成体ゆっくりは色物が多すぎて購入するとなると度胸がいるな。 れいむの相方がゴムボール子まりさで決まりかけていたときとんだ伏兵が現れた。 「ゆっくりしてるかしらありす〜」 「ゆっくりしてるんだぜ!!」 「だぜ?」 店員さんが呼びかけたのはゆっくりありすのはずだが返ってきたのはまりさの言葉だった。 挨拶のしたほうを見やるとそこにいたのはやはりありすだった。 「どうなってるんですこれ」 「どんどん話しかけて上げるといいですよ。言葉が面白い子なんで」 「ありすをほめてもなにもでないんだぜ」 「本人はありす、だけど語尾はだぜ。こういう風に教育したんですか?」 「いえ、まりさとありすの体を横に真っ二つにして上下を入れ替えた改造種のゆっくりなんですよ〜」 「見たところ上半分がありすで下半分がまりさですか」 「そうなんですよ〜」 「ゆゆっおねえさん、ありすのかみをきれいきれいしてほしいんだぜ」 「はいはい」 店員さんはポケットから櫛を取り出しありすの髪を梳いてやった。 「この子は最近流行始めた『だぜありす』なんですよ〜。性格はありすで口癖がまりさなんです。 綺麗好きでまりさが使うような汚い言葉を好みません。さらに『とかいは』という言葉はありすの口癖なのかこの子は使いません。 またまりさ並の運動能力があるので両方の良いところを合わせたゆっくりと言えますね〜。」 「おにいさんもありすがきにいったならさわらしてあげないこともないんだぜ」 「ツンデレはありすの性格なのでどうしようもないですが」と店員さんは苦笑いをする。 こいつなら飼うにしてもうちのれいむと相性がいいかもしれない。 少なくとも今までのゆっくりと比べればの話だが。 カチューシャに付けられた値札を見てみるとなんと一万円と破格な値段だ。 その気になれば自宅でも作る事ができるのでこの価格になってしまうというのは店員さんの言葉だ。 ただしこの店ではそれなりにいいありすとまりさを使っているので野良のゆっくりで組み合わせたものより品質はいいそうだ。 「なあありす、うちにれいむがいるんだが友達になってやってくれないか」 「ゆゆっ、ありすにぴったりなれいむならいってあげないこともないんだぜ」 「ああきっと気に入ると思うぞ」 「お客さんこの子にいたしますか〜」 「そうだなあ。なかなか変わったゆっくりだし、れいむと一緒に飼えそうだからこいつにするよ」 ありすにれいむを拒否する様子がなければそれでいい。 あっさりと『だぜありす』の購入が決まった。 うちに新しいゆっくりを連れて帰るとさっそく二匹は意気投合し始めた。 互いに美ゆっくり同士だから仲良くなるのも早いのだろう。 最初はれいむはだぜありすの言葉遣いに慣れてなかったが性格や振る舞いの良さを見つけると気に入ったようだ。 発育も良く、餌もふんだんにあり、捕食種に追われない生活を送る仲の良いゆっくり達が次第に愛し合うのは自然な流れだ。 しかし出会って二日目で事に及ぶのはどうかと思うが寛大な気持ちでれいむとだぜありすのすっきりーを見守った。 どうやらにんっしんっしたのはれいむの方で目を潤ませながら喜んでいる。 心配されたありすのれいぱー化も全く変身することはなかった。 どうやられいぱー化はありすの下半身側の問題だったらしい。下半身がまりさのだぜありすには関係ない話なのだ。 「ゆゆっ、ゆっくりできるあかちゃんになってね!!」 「ありすとれいむのこどもだからきっとゆっくりできるんだぜ」 「ありす……」 「れいむ……」 そういってちゅっちゅする二匹。おお、うざいうざい。 にんっしんっは植物型だったためれいむの頭の上で目と口だけの赤ゆっくり達が六匹静かに揺れていた。 れいむのにんっしんっから一週間経った頃問題が発生した。 「どぼじであでぃずのごどもがいないんだぜえええええ」 「なんでばでぃざができでるのおおおおお」 れいむにできた六匹の子供のうち三匹はれいむ種だが、もう三匹はどうみても黒い帽子を被ったまりさ種である。 そうなのだ、だぜありすの下半身はあくまでまりさであり、れいむはまりさの子供をにんっしんっしたのと何らかわらない。 そこそこ頭の良い二匹のため、れいむに出来た子供は二匹の子供であると認識しているし、感情的になって子供や母体を攻撃する事もない。 しかし二匹にとって、特にだぜありすにとっては悲劇である。 「まあそう気を落とすなよありす。かわいい子供じゃないか」 「うわ゛ーん、ありずのあかぢゃんはどごだぜええええ」 「今回は諦めな? もう少し時間が経てばお前の中身が混ざってありすの子供もできるかもな」 いくら慰めてもだぜありすはさめざめと泣くしかなかった。 まったくどう飼っていてもそこら中に悲劇しかない動物だなと改めておもった。 あとがき 走り書き万歳。勢いって大事だよね。勢いしかないけどなSSです。 自分の作品には変なゆっくりが多すぎる事が判明しました。 どうみても既存の設定を生かしきれていません本当に(ry ゆっくり達の値段は観賞魚ベースでこれくらいかなーなんて考えてみました。 血統という概念があればもっと高くなるようなきもする。 気になったゆっくり達はどうか手にとって遊んであげてください。 そうするととてもよろこびます。おもに作者が(*´∀`) 今まで書いたSS ちぇんと猫 (猫目ちぇん) ちぇんと死に至る病 (卵生ぱちゅりー) ちぇんとタチ おれがあいつで (だぜありす) ちぇんと幸福論 そういうプレイ (ドMまりさ) ゆっくりでさっぱり (ゴムボールゆっくり) ゆっくりガラパゴス的退化(はぐれゆっくり) 高純度まりさ(プチドスまりさ) 以上のゆっくりの提供でお送りしました。
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3042.html
(編注:@wikiモードでは容量制限に引っかかったため分割) ゆっくりの靴 幻想郷には冬がある。 冬は厳しい季節だ。食べものはほとんどとれなくなるし、道はふさがれ村から村への移動も困難になる。そして何より寒い。 だが、逆境があるからこそ生物は進化し、人間は新たな知恵を生み出していく・・・。 では、近年幻想郷に発生した「ゆっくり」と言われる生物はどうか? ゆっくりは脆弱な生物だがその繁殖力は高く、その繁殖力を生かして冬を種族としては乗りきっているようだ。 だが、個々では頭があまり良くないため冬ごもりまでに餌を十分に集めることをせずに凍死する個体も多くいる。 さて、ゆっくりにとって安全に冬を越す条件とはなんだろうか? 1.まず第一に餌が十分に確保できていること。これはゆっくりが群れで狩りという名の採集をすればなんとかなるかもしれないが、群れの個体が多すぎた場合は絶望的だ。 2.次に寒さを防ぐことの出来るねぐらを手に入れること。だがこれはゆっくり以外の動物も同様なので既に空いている洞穴や穴倉を探すのは非常に難しく、ある程度の長い期間を使って自分で作るしかない。 この二つが絶対条件なのである。 今は既に秋口を通り越し落ち葉の数もめっきり減ってきた。冬はもうそこまで来ている。 しかし、今群れには何も考えずに繁殖してしまった結果赤ゆっくりや子ゆっくりが大量に居る上にリーダーのぱちゅりーの言うことを聞かずに餌も十分に集める事もしなかったため 冬を越す為の貯蓄はまさに絶望的だった。 たとえ赤ゆっくりが居なかったとしても、冬を越すことは出来ないだろう。 そして巣穴だが、これも明らかに不足している。 秋にすっきりーしてしまったため、今ある巣穴では既に全員が入りきることが出来ないのだ。今から増築?増穴?しても間に合わないだろう。 既にこの群れの未来は八方塞がりに見えた。 そう、もう正攻法に頼るわけにはいかないのだ。 そしてリーダーぱちゅりー他、ゆっくりにしては頭の回るゆっくり達・・・その数10匹がこの群れを捨てて人間の里に行くことを決意した。 「むきゅっ、みんな聞いてね。このままじゃ冬を越せなくなってみんな死んじゃうよ。だからぱちゅりー達は人間の里に行って人間さんのお家で働かせて貰うよ!」 「ゆゆっ?!人間さんは危ないよっゆっくり出来ないよっ!ぱちゅりーはバカなのっ?」 「ゆゆー!なんで働かなくちゃいけないの?それじゃあゆっくりできないよ!ぱちゅりーはバカだねっ!」 「「ゆゆ~ゆっきゅりできないぱちゅりーはゆっきゅりいらないよっ!ゆっきゅりごはんをおいてでていっちぇねっ!」」 「わからないよー・・・人間の里はゆっくりできないんだよー・・・・・わからないよー」 やはりこれだ。 自分たちがどれほど危機的状況にいるのか全く分かっていない・・・ 確かに人間の里にゆっくりが行くのは危険を極める状況になるだろう。だが、今ここで動かなくては全滅は必至。 ぱちゅりー達ゆっくりの群れにはもう選択できる余地など他になかったのだ。 ならば起死回生の策を取るしかない。それがぱちゅりーが出した苦渋の決断だった。 そしてぱちゅりー率いる10匹のゆっくりは群れの仲間達に追い出される感じで群れをあとにしたのだった。 人間の里。 ぱちゅりーの仲間達は、ぱちゅりー他れいむが2匹、まりさが3匹、ちぇんが2匹、ありすとみょんが1匹ずつの小さな集団で人間の里の入り口まで来ていた。 さて、ここからが問題である。 人間には自分たちを愛護してくれる人、特に関心はないけど悪さをしなければ攻撃してこない人、そして・・・無条件で地獄より苦しい事をして虐待してくる人たちがいる。 ちなみに加工場の職員は虐待の人に分類されている、ゆっくり達にとってはだが。 ぱちゅりー達はこの里の中で、愛護してくれる人か関心はないけど攻撃してこない人達と交渉してなんとか冬の間だけでも住むところと、持参してきた食料で足りない分を 与えてくれる人を探さなくてはならない。 そしてまず考えたのはゆっくりを飼っている人のお家でお手伝いをしながら冬の間の住まいを貸してもらう事だ。 運良く飼いゆっくりのバッジを着けたまりさとありすが居たのでぱちゅりーは代表してそのゆっくり達に飼い主に会わせて貰いたいとお願いに行ったのだ・・・・ が、飼いゆっくりも全てが性格の良いゆっくりというわけではない。 「ゆゆっ!薄汚いゆっくりね!全然都会派じゃないわっ、こんな汚いゆっくりをお家に連れて行ったらお姉さんに迷惑だわ!」 「ゆゆ~、野良ゆっくりの分際でお兄さんとお話したいだなんてとんでもないぶれーものなんだぜっ!さっさと山に帰って不味い葉っぱに虫さんでも食べればいいんだぜ!まりさ達は美味しいご飯で ゆっくりするんだぜっ!」 そう言ってそれぞれお家に帰っていった。 「むきゅぅ~、同じゆっくりなのに酷いんだわ・・・・」 「本当だよっ!ぷんぷんっ!」 「許せないんだぜっ!美味しいご飯を食べて自分だけゆっくりできるからあんな酷いこと言うんだぜ!」 「そうよ、ぱちゅりーは悪くないわ。気にしちゃだめよ?」 「わかるよー、ぱちゅりーはとっても頭の良いゆっくりだよー」 「ありがとうみんな、ここでくじけちゃったら冬は越せないわ!みんなで手分けしてがんばりましょ!」 そうしてゆっくり達は2匹一組になって自分たちを冬の間だけ置いてくれる人を探して回った。 そして、幸運なことにぱちゅりーとありすの組はなんとか冬の間だけ床下を貸してくれる家を見つけることが出来た。 条件は床下に居る蟻や虫を冬の間に全部駆除・・・食べてしまう事。 やはり村の家は木で出来ているため、害虫は発生しやすいし虫に家を喰われてしまうと家がすぐに壊れてしまうため家を守るための害虫駆除は必要であった。 こうしてこの組は冬の間の住処と食料を手に入れることが出来たのである。 次に、ちぇんとれいむの組だが猫好きなお兄さんが飼ってくれることになった。 この組はかなり幸運だろう。 暖かい寝床と美味しいご飯が与えられる飼いゆっくりになれたのだから。 みょんとまりさは残念なことに虐待お兄さんに捕まってしまった。 ただ、この虐待お兄さんの変わっているところはただ叩いたり蹴ったりして虐待を楽しむタイプではなく どちらかというと研究者としてゆっくりを観察するお兄さんだったのだ。 そのお兄さんが前に使っていたれいむとまりさの番の子供が沢山いたのだが その子供の世話をする代わりに、まぁ寝床と死なない程度のご飯は与えられることになった。 春になったら開放されるとは限らないしいつ処分されるかもわからないが、お兄さんの研究がどんなものなのかは賢いとは言えゆっくりには理解できないので仕方がない。 さて、残ったのはれいむとまりさの組とちぇんとまりさの組だ。 れいむとまりさは草履職人の家にやっかいになることになった。 草履職人は一人暮らしで近年親元を離れて生活するようになった若いお兄さんだった。 このお兄さんは初めての一人暮らしで少々の寂しさを感じていたので、冬の間だけ・・・と言うのならばとゆっくりを飼ってみることにしたのだ。 餌はお兄さんが草履を作るときに必ずに余ってしまう長さの藁である。 まぁ当然これだけでは少ないので料理のたびに出る残飯等も食事として与えられる事になった。 あとは、職業柄で床がすぐに藁の粉で汚れてしまうのでそれを舐め取るのが仕事として与えられた。 最後のちぇんまりさ組はとうとう住むところが見つけられずに途方に暮れていた所で偶然れいむまりさ組のお兄さんに拾われた。 今回はこのれいむにまりさ×2とちぇんの家での話しになる。 青年は困っていた。 確かにこのゆっくり達はゆっくりにしてはとても賢かったため、生活のじゃまをされたり家を壊されたりしなかったのでゆっくり被害的には問題なかった。 だが、お兄さんは駆け出しの草履職人なのであまり収入がなかったのだ。 細々と生活する分には何とか生きていけただろうが、流石に4匹分のゆっくりを十分に養って行くことはできなかったのである。 「ゆぅぅ、お兄さん顔色が悪いよ・・・ゆっくりしてねっ」 「わかるよー、ちぇん達のせいでお兄さんが困ってるんだねー、とっても申し訳ないよー」 「でもまりさはお腹ぺこぺこなんだぜ!お兄さんご飯を用意して欲しいんだぜ!」 「そうだぜ!まりさたちはお仕事してるんだからお兄さんはご飯を用意してね!」 見て分かるように、ゆっくり出来るようになりそれぞれが地の性格を出してきていた。 れいむにちぇんは元々優しい性格で飼いゆっくりには向いていると言えた。 ちなみに市場では賢いありすや性格が良く飼いやすいれいむを押しのけちぇんが一番人気のゆっくりだった。 ちぇんはそれ程賢くはないが、賢さとは別に人の気持ちを酌むことが出来る性格なのと見た目にも可愛いしっぽが生えていているのがその理由だ。 だが、まりさは最初は従順に見えていても慣れてくるとすぐに贅沢になりどんどん強欲になるのである。 今もれいむやちぇんは懸命にお兄さんに与えられた仕事である床舐めをして床掃除をしているが、まりさ2匹は時々落ちてくる枯れ草の切れ端を狙って食べるだけである。 しかも食事時にお兄さんが与える餌を我先にと食べれいむやちぇんの分も多めに食べてしまうのである。 足りると言うことをを知っているちぇんとれいむは不満はありながらも、同じ群れから出てきた仲間で自分たちより元々は年下だったまりさのために我慢をしていたのだ。 それとは裏腹にまりさ達の傲慢さは止まることを知らない。 ついにはお兄さんの仕事道具である藁にまで手を出してしまったのだ。 「むーしゃ、むーしゃ、ふまんぞくー」 「むっしゃむっしゃ!まりさにはこんな枯れ草ふさわしくないんだぜ!お野菜を食べさせるんだぜ!」 「ゆゆっ!!だめだよっ!それはお兄さんの大切な仕事の道具だよっ!!それがなくなったらお兄さんが仕事できなくなっちゃうよっ!ゆっくり食べるのを止めてねっ!」 「わかるよー!そんな事をしたらお兄さんがゆっくりできなくなるんだよー!ゆっくりわかったら食べるのを止めてねー!!」 「むーしゃ、むーしゃ・・・れいむ達はバカなんだぜ!まりさたちはお兄さんに言われている仕事をしてるんだからご飯を食べるのはとーぜんのけんりなんだぜ!」 「ゆへへへへっ!バカなれいむとちぇんはそこで餓えてればいいんだぜっ!」 もう何を言ってもまりさたちは聞く耳を持たない。 このままではお兄さんに迷惑がかかってしまう・・・。 そしてれいむとちぇんは覚悟を決めてまりさたちに体当たりをした。 「ゆゆっ!!まりさはすぐに藁さんから離れてねっ!そして食べるのを止めてね!」 「ゆべっ!」 「わかるよー!まりさ達は悪い子だからゆっくりお仕置きするんだよー」 「ゆべしっ!」 まりさ達は体当たりをくらって壁にむかって転がっていった・・・。 れいむ達はこれでまりさ達も分かってくれるだろうと思っていた。しかし・・・・・ 「ゆっ!痛いけど大したことないんだぜ!」 「そうだぜ!もうまりさはちぇんよりも強いんだぜ!!」 そう、今までまりさ達はれいむ達のご飯を奪いながら多く食べていたため既に昔はお姉さんだったれいむ達より強くなっていたのだ。 そしてまりさ達の反撃が始まる。 まりさAは飛び上がりれいむを踏みつぶした。 「ゆぎゃぁっっ!」 「ゆへへ・・・あの強かったれいむお姉ちゃんも今は哀れなもんなんだぜっ・・!!」 そう言いながらまりさはれいむをさらに踏みつける。 どんっどんっどんっ! 「ゆぎゃ!ぎゃっ!ゆっ・・・」 れいむはみるみるうちに形を変え潰されていく。 その悲鳴も最初は大きかったが踏みつけられるたびに小さく弱くなっていく。 「わ、わがらないよーー!このままじゃれいぶがじんじゃうよっ!もう止めてあげてねー!?」 目の前で潰されていくれいむを見て気が動転しているちぇんはれいむを助けてくれるように懇願する。 その隙を突いたまりさBがちぇんの後ろに回ってそのしっぽに噛みついた。 がぶりっ! 「にゃっ!!い、いだいよーーー!!わがらないよーーーーー!!!!」 突然尻尾に走った激痛にちぇんは飛び上がる。しかし、尻尾に噛みついているまりさは動じることなくそのままちぇんを引き摺り回す。 「ゆっゆっゆっ!おひほよひのひぇんはばがなんだぜーーー!」 「いたいよーーー!はなしてねー!!い、いだいよーー!!」 引き摺り回してちぇんが弱って来ていたので今度はまりさBも大きく飛び上がりちぇんを踏みつぶした。 普段のちぇんならゆっくりとしてはかなり素早いので踏みつぶすことが出来なかったはずだが、引き摺り回されて弱っていたので逃げることも出来ずに踏みつぶされた。 「みぎゃっ!!ゆ、ゆっぐりどげでねぇ・・・っ、ぐ、ぐるじいよぉ。わがらないよぉ・・・」 「弱いちぇんだぜ!まりさに狩りを教えてくれたちぇんお姉ちゃんももう情けない弱虫なんだぜっ!」 昔は自分より強くて色々な狩りを教えてくれたちぇんを圧倒できるのがうれしいのかまりさの攻撃は過激になっていく。 どすんっどすんっどすんっ! 「ゆぎゃっ!ぶっ・・・!ゆげぇ・・・・・」 小柄なちぇんはついに耐えきれずに餡子を吐きだしてしまった。 そうしてしばらくれいむとちぇんをいたぶっていたまりさたちは飽きてきたのか。そのまま体当たりで二匹を床から土間に突き落とした。 どんっ・・ごろごろごろ・・・・・べちゃっ! 「「ゆげっ!」」 形が変わるまで踏みつけられたれいむに、既に餡子まで吐いてしまっているちぇんは虫の息。 あろう事かまりさたちはその二匹に土間の上からしーしーをふっかける。 「ゆっへっへっへ・・・!おぉあわれあわれ」 「強いまりさ様のしーしーをかけていただけるなんて幸せなゆっくりなんだぜーー!!ゆはーゆはーゆははっ!」 「ざこのれいむ達は冷たい土間でゆっくり反省するんだぜっ!!」 既に雪の積もっている外と直接つながっている地面の土間はとても冷たく寒く、このまま弱った体では死んでしまうかも知れない。 とくに餡子を吐き出してしまっているちぇんは危ない状況かもしれない。 踏みつけられたとは言え、外傷がないれいむは何とか冷たい地面を這いながらお兄さんの作った草履を二つ敷いてその上にちぇんをのせてあげた。 「ゆぅ・・・ゆぅ・・・ちぇん我慢してね・・っ、今お草履のうえに乗せてあげるからね・・・・・っ」 「・・・・・ゆぅ・・・ごめんねだよー・・・・れいむも辛いのにごめんね・・だよー・・・・・」 「ゆぅしょ・・ゆぅしょ・・・」 踏みつけられ変形してしまっているれいむは何とかもう全く動きを見せなくなってしまったちぇんを草履の上に乗ようと少しずつちぇんを押していく。 その様子を上からまりさたちはニヤニヤと見てヤジをとばす。 「ゆへへ・・・れいむ頑張るんだぜぇ?早くしないとちぇんが大変なんだぜぇ!」 「おぉくさいくさい。くさいれいむとちぇんは仲良く土間がお似合いなんだぜ!」 なんとかゆっくりながらちぇんは草履の上に乗り、地面からの冷気を少しだけ和らげられたのか弱々しくもその呼吸音が聞こえてくるようになった。 しかしれいむはそこで力尽きたのかちぇんに寄り添いながらもそのまま気を失ってしまった。 動かなくなったれいむ達を見るのもつまらなくなったのか、まりさ達はまた藁を食べに戻ってしまった。 お兄さんが作った草履を売りに行って戻ってきたのはこの事件があった2時間後だった。 お兄さんが玄関をあけたときにまず見えたのは、土間の草履置き場で弱々しい呼吸をしながら眠っているちぇんと、その傍らで永遠にゆっくりすることになってしまったれいむだった。 何があったのか? 突然の事態で驚いたお兄さんだったが、地面に直接座っていては寒いだろうと思い2匹を抱き上げる。 そのとき初めてお兄さんはれいむが既に冷たくなってしまっていた事と、草履が餡子でちぇんにくっついて一緒に持ち上がって来たことに気付いた。 お兄さんはそのままちぇんを自室の寝間に連れて行き座布団の上に乗せて火鉢の近くに座らせてやった。 残念だがれいむはもう事切れていたので台所に持って行き食料貯蔵庫に入れておいた。 これもゆっくりとの約束だったのだ。 もし自分たちがここで永遠にゆっくりすることになったらお兄さんが食べても良いと。 そして先ほどから見ないまりさがどこか別の場所で死んでしまっているのでは無いのかと思い二匹を探すことにした。 結論から言うと二匹はすぐに見つかった。 お兄さんの仕事部屋で。 だが仕事部屋にあった草履用の藁が食い散らかされ、まりさ達は図々しくも残りの藁に埋もれて幸せそうに寝ていた。 「ゆ~ゆ~、もう食べられないんだぜー」 テンプレートな寝言を言いながら・・・。 この時点でお兄さんは大旨の状況は理解できていた。 流石に日頃からの様子を見ていればまりさ達がずるをしてれいむたちを困らせていたことは知っていたからだ。 だが、特に愛護しているわけでもなく教育熱心でもなかったお兄さんは、まぁ別に放置していても問題ないと思っていた。 しかしどうだ?この状況は。冬用の藁靴を作るのには大量の藁が必要なのに、このゆっくり共はそれをあろう事か食べてしまったのだ。 正直これでは今年の冬を越せるのかどうか大きな問題になってしまった。 とりあえず、今すぐに叩き潰したいところだがお兄さんは我慢してまりさ達をそっと透明な箱に詰め込んだ。 さて、問題は山積みである。 まりさ達の処分は当然として、このままだとこれから作る藁靴は予定の半分程度しか作れなくなってしまう。 それだと、さすがにお兄さんもこの冬を越すことが出来なくなってしまうのだ。 この危機をどうやって乗り切ろう・・・・? そもそもこのゆっくりが来たせいでこんな目に・・・。 いや、そもそも寂しさを紛らわせるために飼い始めたペットのようなものだ、そのペットが悪さをしたからといって・・・ こうしてお兄さんの思考は堂々巡りに入っていた、その時やっとちぇんが意識を取り戻し始めた。 「ゆ・・・・ゆぅ、お、お兄さんだよ・・・」 「ん?おぉちぇん大丈夫か?お前ずいぶん弱っていたんだぞ」 意識はしっかりしてきたのか、体は動かせないまでも耳がぴくぴくと動く。 「ゆぅ~・・・お兄さんれいむは?れいむはどこにいるの?わからないよ~・・・」 座布団に乗っているのが自分だけでどこを見てもれいむが居ないのが気になるのか弱々しい動きであたりを見る。 しかし、やはりどこにも見あたらない・・・・。ちぇんの脳裏に嫌な予感がよぎる。 「・・・あのな、ちぇん。れいむなんだが・・・・お前達流に言えば永遠にゆっくりすることになっていたぞ」 「ゆーー!!?わ、わがらないよーー!わがらないよぉーー!!でいぶーーー!!」 同郷の仲間を失ったのが悲しいのだろう、ちぇんは泣き叫びながられいむの名を呼び続けた・・・。 しばらくしてある程度落ち着いてきたちぇんに事情を聞いてみた。 そうしてやっとこの事件の概略が分かった。 要するにやはりまりさ二匹が大切な商売道具を食い散らかし、そしてそれを注意したれいむとちぇんに攻撃を加えてそのうちれいむを殺してしまったと言うことだった。 「ごめんなさいだよー。ちぇんはお兄さんの大事なものを守れなかったよー」 そう言ってちぇんは謝りながらもこれから追い出されるかもしれない、もしかしたらここで潰されてしまうかも知れないという恐怖で耳を伏せてぶるぶる震えていた。 とりあえず、まりさ達は別としてお兄さんとしてはちぇんを潰すつもりはなかった。 ゆっくりにしては珍しい忠義者であったし、なにより別にお兄さんは虐待鬼意山ではないのだから。 そして気になっていた事を聞いてみることにした。 「なぁちぇん、お前が潰れて気を失っていた時に草履を敷いていたけどありゃなんでだ?」 「ゆぅ・・・あれはちぇんが餡子を吐いて弱っていたかられいむが地面から体が冷えないように乗せてくれたんだよー・・・でも、れいむは・・・わがらないよぉ・・・」 「そうか、つまりれいむは最後の力を振り絞ってお前を草履の上に・・・・」 そう、れいむは地面の冷たさからちぇんを守るために草履の上にちぇんを乗せてやったと言うのだ。 ここでお兄さんはある考えが閃いた。 『履き物には足を地面の冷たさから守る効果が必要』なのだと言うことを。 当然と言えば当然のことだが、冷気から体を守るというのは死にかけのちぇんが助かってそこそこの負傷だったれいむが死んでしまうと言うまでの明暗を分ける結果になったのだ。 もしかしたら・・・と思ったお兄さんは早速試してみることにした。 「おいちぇん、お前ちょっとお兄さんの指を咥えてみてくれ」 「にゃっ?わからないよー?ちぇんはお兄さんは食べられないよー?」 「まぁ良いから咥えてみろって」 お兄さんはちぇんの口に指をつっこんでみた。 「・・・はむっ」 ちぇんの舌は猫独特のざらざら感があり、そして・・・・・・温かいのだ! そう、生きているゆっくりの中身は温かいのだ。 お兄さんの頭には既にある商品の設計図が完成していた。 後はあの二匹でそれを実行すれば良いだけだ。 「よし、わかったぞ。お前はとりあえずこれでも喰ってゆっくりしてろ」 そう言ってお兄さんはれいむだったモノを半分に切ってちぇんに渡す。 「にゃっにゃぎゃーーー!わがらないよっ!ちぇんはれいむを食べたり出来ないよっ!」 まぁ同族食いには抵抗があるのだろう。別に食べなくても良かったが、とりあえずこのちぇんは大分弱っているので出来るだけ栄養のあるモノを食べさせたかったのだ。 「いや、良く聞けよちぇん。れいむはお前を助けるために死んだんだ。だからお前がそのれいむを食べてれいむの生きた証になるんだ」 「ゆぅ~わ、わがっだよー。わがらないげど、ぢぇんでいぶを食べてゆっぐりずるよぉ~」 そう言って涙ながらにちぇんはれいむを食べはじめた。 ゆっくりいじめ系1813 ゆっくりの靴 後編に続く
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2691.html
ゆっくりを低温度であぶりつづけると、臨界を迎えて爆発 することは有名である。 とはいえ、外皮が薄いため、うまく破裂することは少ない。 だが技術の進歩はすさまじく、ゆっくりの加工、あるいは改 良ゆっくりを生み出すことにより、技術的問題を克服し、ゆ っくりを軍事転用することが可能となった。 所謂、悠(ゆっくり)式計画の成果である。 悠式計画の最終目標は、巨大高機動ゆっくり母艦の開発で ある。機動式ゆっくりは、複数のゆっくり皮を連結し、内部 に餡を詰め込むことで生産される。従前では、機動的だとは とても言えない出来であった。薄皮のため連続運用に堪えら れず、常に分解整備を必要とするため、コストが尋常でなく 跳ね上がるのだ。連結部分も脆弱なため、防禦力が薄く、そ のため攻撃や運動性が著しく低い。これならば、軽歩兵ゆっ くりを直接投げつけたほうが、現場の効果は期待できる。 だが悠式機動ゆっくりは、ただ餡を皮で包んだ、でかマン ジュウとはコンセプトがまったく異なる。機敏に、かつ重厚 な攻撃力を目的に開発されるのだ。ブロックごとに皮で包ん だ餡と、その中で個別に連動させる乖離型ゆれまり機関はか つてない繊細さと力強さを発揮出来る。電子連動された餡核 同士が密接に疑似ニューロネットワークを作り上げることに より、簡易的ではあるが量子演算と疑似人格を持たせること が出来る。統一的かつ機能的に、すなわちまさしく機動的な 運用が行われることになる。 国がいくつか傾くほどの予算と時間を費やして――実際に 傾きすぎていることは置いておく――、ついに開発が終了したのだ。 ・ ・ ・ 「ってことに、なっているわけだが!」 俺は嘆息して、実験場に詰まれたくず山を見上げた。 「もしかしてこの腐った餡の山がその高機動なんちゃら じゃあありませんよね?」 俺の嫌味な視線を軽くいなして、尊敬すべき偉大なる上 官は受け答えた。 「いいかね、我らの敵はあまりにも強大だ。だからこそ、 この計画に期待が集められ、そしてついでに金を集められ たのだ。悪鬼殲滅こそが至上目的であって、つまり敵国を 滅ぼすのが我らの使命なのだが」 ゆっくりの加工工程について書かれた原稿用紙を何枚か 摘み上げながら、続ける上官。 「……なんとか来週までに殲滅してくれんかね」 ・ ・ ・ 「ゆっくり! ゆっくりだよ!」 「わー! ゆっくり出来るよぉー!」 次々と空を舞うゆっくり達。 基地からは盛大な拍手と、壮行の万歳が行われていた。 「ゆっくりー! ゆっくりしてくるからねー!」 「ゆー、ゆー♪ 空、ゆっくりだー♪」 数千、数万にも及ぶゆっくりの飛行編隊は、風の向く まま流されていった。 ・ ・ ・ 「少し、寒いね! でも空高いんだね!」 基地から飛び立ち、数十分程。 ゆっくりよりもよりゆっくりした気球に括り付けら れたゆっくり達は、快適な空の旅を楽しんでいた。振 り落ちないよう、台座ではなく、銅板にすっぽりと包 まれたゆっくり達は、ちとせゆっくりのように滑稽で はあったが、気にする者はいなかった。 また銅版は微弱だが電波を送受信出来るため、互い のゆっくりがおしゃべりするのに何も問題はなかった。 「でも少し怖いね! ゆっくりできるかな!」 「大丈夫だよ、だってこんなに気持ちいいもん! れいむなんだかゆっくり眠いかも……」 ゆわーっ、と大きくあくびをして、ゆっくりと寝入 り始めるゆっくり達。 気球は空を飛びつづける。 ・ ・ ・ 「さむ……ゆっく、さむぃ……」 「寒いねえ……でも、オヒサマきれー」 現在の高度は約2000メートル。 夏場とは言え、流石に寒さが身にしみ始める高度だ。 「白い海だよ! 寒いけどゆっくりできるよ!」 雲海の狭間に沈む夕日は、どこまでも幻想的で、 そしてゆっくりであった。 「ゆっくりしていくね! でも寒いね!」 ・ ・ ・ がちがちと震えが止まらない。 真っ暗な世界で、ゆっくりの身をまとう銅板が、 容赦なく体温を奪ってゆく。叩き付ける強すぎる 風に煽られ、翻弄されながら飛んでゆくゆっくり達。 高度8000メートル。極寒の世界だ。 「ゆっぅっ! さっ!! む゛ううう!」 「うぎゃああああ! だずげでえええ! だず げえええ!」 「どうじでごんなー! あ゛あ゛あ゛!!」 穏やかな気候の下で育てられた彼女達は、10 度を下回る世界ですら極寒となる。ましてや、零 下20度だなんて、「これぞまさしく冷夏だね! 」と言うギャグを放つ気力すら奪う程に寒い。 ばりばりとした冷気は、ゆっくり達を蝕んでゆく。 ゆっくり、ゆっくり。 ・ ・ ・ 「いだいいいいいいいいいいいいいい!」 ゆっくりのだれかが叫ぶ。 乾ききったこの世界で、あまりにも寒い空の上 で、さらに冷たく光る銅版は、ゆっくりの後頭部 を裂き始めた。冷たくなった銅版は、ゆっくりと 中身を締め上げ、また冷気は皮膚を冷たく焼き切 る。びり、びりいと音が聞こえて来るような程、 今までにない悲痛な表情を浮かべるゆっくり。 「も゛れっ! やあああああ!」 側頭部から後頭部にかけて、ぴっちりと銅版に 覆われているため、中身が漏れることはないのだ が、ゆっくり達にわかるはずもない。 後頭部の避けるゆっくりの数は次第に増えてゆ き、ある者は白目を向き、ある者は虚ろに笑いな がら、空の旅は続く。 暗い海の空高くに輝く三日月は、そこに住まう 者のように笑っているようだった。 ・ ・ ・ 「……ゆ?」 暖かい。 先ほどから、寒いのは変らないが、少し暖かく なってきていた。雲の切れ目から見える青い海は、 夜とは一転して輝いて見えた。時刻は昼より少し 前だろうか。 「あれ、ゆっくりできる!」 「ゆー! ゆーっく!」 「きっと、基地のおにいさん達が助けてくれた んだよ!」 誰かが気が付いたように叫ぶ。 「おにーさん、ありがとー! ゆっくりできる よー!」 「ゆっくりー♪」 ゆっくりし始めたゆっくり達は、ゆっくり出来 たため裂けた後頭部も癒えてきたようだ。 ・ ・ ・ 「あ゛づいいいい! あづ、ゆ、寒あづいいい!」 遮るもののない中空で、太陽光を存分に吸収した 銅版は、くるまっているゆっくり達を熱で苛んでいた。 また、ゆっくりの上に設置された発熱装置自体が、 更なる熱を生み出していた。 「ゆ゛ふううううう! ぶぐううう!」 「ゆっぐりじだ、ぐうううう」 全員が顔を真っ赤にさせ、くちをぱくぱくとさせている。 泡を吹いて気絶できた者は幸せだろう。 ふと、陸地が見えた。 「ゆっくり! ゆっぐりでぎるがなあああ!」 ゆっくり飛行船団は、ゆっくりと陸地を横断し始めた。 ・ ・ ・ 「ちゃくちー! もうすぐちゃくちだよー!」 熱は大分収まったようだ。 ほとんどのゆっくりは起き出して、始めてみる異国 の町並みを見下ろした。 「綺麗だねー!」 「ゆっくりできるね!」 「ゆっくりしていってね!」 こちらを見上げる人々に向かって、みんなで挨拶を交わす。 「ぱれーどだー♪」 先頭のゆっくりが、こちらに向かってくる軍隊に気が付いた。 「どこどこ?」 「ゆっくりできる?」 突然、銅版が灼熱の輝きを発した。 「う? う゛、……うぎゃああああああああづびい いいいいいいいいいっくりいいいいいいいいいいいい いいいいいいいいいぎゃぶっ」 高度計と時限装置の組み合わせられた発熱装置が、 最後の燃焼を開始し、ゆっくりの最終臨海を導いた。 大きな爆風は、まだ遠かったため町並みを少し揺らし ただけに過ぎなかったが、ゆっくり達の心は千路にかき乱された。 どおうん! 断末魔と共に、爆発音がそこかしこで湧き上がる。 逃げ惑う人々。 だがゆっくりが逃げることは出来ない。 ゆっくりが逃げることは、出来ないのだ。 「やだああ! ゆっぐりでぎな゛っ!!」 防衛部隊に狙撃され、一瞬で絶命したゆっくりは、 爆散することなく地上に降り立った。恐慌は、数キ ロに渡って続くゆっくり飛行船団の末尾にまで広がった。 あと十数分で、運命を委ねなくてはならないこと を理解しているゆっくりはいなかった。理解しても 無意味ではあったろう。 二昼夜に及ぶ地獄の航行の末路が、灼熱の爆死か、 必殺の狙撃か。ただその二択しか待ち受けていないことなど。 ・ ・ ・ 大本営発表 本日、悠式計画の最終段階である飛行船団ゆっく り爆弾は、敵本土を焼き尽くし、悪鬼の心に拭えな い恐怖を植え付けたことを報告する。 これにより悠式計画は一応の成功を迎え、次の段階に進…… ・ ・ ・ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1212.html
ゆっくりいじめ系161 奇形ゆっくり2 「奇形ゆっくり3~ゆっくりバッジ~」 ある日の午後。 夏の強い日差しが、草原に降り注ぐ。 水分に弱いゆっくりたちは、どうやら渇きにも弱いらしく… 多くのゆっくりが木陰か川の畔でゆっくりしていた。 分厚い雲が移動して、木々に囲まれた広場に大きな影を作る。 さらに、そこへ涼しい風が流れ込むので、他の場所よりとても過ごしやすい場所となった。 そうだと分かったゆっくりたちは、広々としていてかつゆっくり出来る場所に次々と移動し始めた。 「ここならゆっくりできるね!!」 「みんなでゆっくりしようね!!」 「ここはみんなのゆっくりポイントだね!!」 雲の影の下でゆっくりし始めるゆっくりたち。 お花畑で追いかけっこしたり、蝶を捕まえて食べたり…思い思いにゆっくりしている。 僕が訪れたのは…そんな即席のゆっくりポイントでゆっくりたちがゆっくりし始めた、その時だった。 「やぁ、ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆっ!?ゆっくりしていってね!!」」」 僕が大声で呼びかけると、周囲の大小合わせて約50匹のゆっくりは全員で挨拶を返してくれた。 うむ、いい声だ。本能に忠実で、実に健常なゆっくりである。 「おにーさん!!ゆっくりしていってね!!ここはれいむたちのゆっくりポイントだよ!!」 「へー、なかなかいいところを見つけたね!!お兄さんもゆっくりしていくよ!!」 座り込んで周りを見てみると、数十匹のゆっくりが僕の周りを取り囲んでゆっくりしている。 しばらくすると、僕のすぐ近くにいるゆっくりれいむが異変に気づいた。 「おにーさん!!そのおなかには、なにがはいってるの!?」 僕の膨らんだお腹を見つめて、不思議そうに首をかしげている。 おいおい、僕が来てから10分以上経ってやっと気づいたのか? しかも、気づいたのは僕の一番近くにいるれいむ一匹だけだ。 まぁいいか…とりあえず説明してやることにした。 「実はね……もうすぐお兄さんの赤ちゃんが生まれるんだよ!!」 「ゆゆ!?そうなの!?」 遠くまで聞こえるように説明してやったので、周囲のゆっくりがひしめき合いながら僕の周りに集まった。 どうやら新たな命の誕生となると、それが誰の子供であろうと気になるものらしい。 僕はお腹をさすりながら、皆に見えるように立ち上がった。 「おにーさんのあかちゃん!!ゆっくりいいこなってね!!」 「ゆっくりうまれてきてね!!うまれたらみんなでゆっくりしようね!!」 みんな子供思いのいい子だ。お兄さん嬉しくて涙が出てきちゃうっ…っていうのは嘘です。 人間の男が子供を生むことは無い、という一般的確定的事実を知らないのかよ。 きっと知らないんだろうな。ゆっくりはオスメスの区別なく子供を成すというから。 「あっ、もうすぐ生まれるよっ!」 苦しそうな声を出す僕。もちろん演技である。 「おにーさん!!ゆっくりがんばってね!!」 「あかちゃんもゆっくりがんばってね!!まりさたちがみてるからね!!」 「うまれたられいむがめんどうみてあげるよ!!ゆっくりかんしゃしてね!!」 興味深そうに、そして心配そうに僕のお腹を見つめながら、まわりのゆっくりたちは口々に励ましの言葉を かけてくる。 うーん…そろそろ頃合かな。と、僕は苦しそうにする演技を止めた。 「なーんちゃって!!う・そ・だ・よ!!」 「ゆ゛ゆ゛っ!?」 「お兄さんには赤ちゃんなんていませんよーだ!!」 突然の状況の変化についてこれないゆっくりたち。僕は思い切って、お腹の部分の服をめくり上げた。 「ゆっ!!」 ぼよん!! バレーボール大の、饅頭に毛が生えたような生き物が地面に落ちた。 実は、僕のお腹だと思われていたのは、一匹のゆっくりれいむだったのだ。 先ほどからずーっと、こいつは僕の服のお腹のところに押し込められていたのである。 「ゆううううぅぅぅぅぅ!!??」 周りのゆっくりたちは、混乱のあまりものも言えないという様子。 しかし、この程度でびっくりされては困る。これには、まだまだ“先”があるのだから。 「お、おにーさんのあかちゃん…なの?」 「だから違うって言ってるでしょ。この子は赤ちゃんじゃない、普通のれいむだよ」 そう言って、僕の脚の陰に隠れていたゆっくりれいむを、皆に見えるように前に押し出す。 この場から逃げようと精一杯の抵抗をして見せてくれたが、当然無意味だった。 周りのゆっくり全員に見える場所に、ゆっくりれいむは立たされることとなった。 「むっ!!むぐぐぐぐぐううぅぅぅぅぅ!!!!」 口に何かを含んでいるような、くぐもった声。いや、実際に含んでいるのである。 その中身を、僕は知っている。れいむ自身も知っている。 知っているからこそ、何があっても口の中身を外に出したくは無いのだ。 出してしまったが最後、れいむだけでなくその“中身”もゆっくりできなくなるのだから… 「ん?れいむ!!君は口の中に何か隠しているね?」 可能な限りの大声で、れいむに問う。周りのゆっくりへのアピールが目的であるのは言うまでもない。 「そうだね!!れいむのおくちがふくらんでるよ!!」 「なかになにがはいってるの!?ゆっくりそとにだしてね!!」 周囲からの呼びかけにもかかわらず、れいむは口の中身を出そうとしない。 早くこの場から立ち去りたいのだろう、涙目になっているが既に周囲はゆっくりの壁に囲まれているので ここから逃げ出すことは到底できない。 そして、僕は追い討ちをかけることにした。 「きっと食べ物に違いないよ!れいむは食いしん坊だもんね!!」 この言葉を聞いた瞬間、ゆっくりたちの目の色が変わった。 「ゆゆ!!たべもの!?れいむもたべたいよ!!ゆっくりおくちからだしてね!!」 「まりさもおなかすいたよ!!まりさもごはんたべたいよ!!」 「ぷんぷん!!ひとりじめはいけないんだよ!!みんなでいっしょにたべようね!!」 「むぐぐぅぅぅぅぅぅ!!!んぐぐぐぅぅぅ!!!!」 今にも飛び掛りそうな勢いのゆっくりたちに、れいむは必死に首を横に振っている。 うむ、あと一発背中を押してやればいいだろう。 「よし!皆でれいむの口からご飯を引っ張り出そう!そして皆で食べようね!」 「む゛ぐう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅぅぅぅぅぅ!!!???」 「ゆっくりそうしよう!!」「ごはんをゆっくりだしてね!!」 数匹のゆっくりが、目にも溜まらぬ速さでれいむを取り囲んだ。 完全に退路を絶たれたれいむは、涙を流しながら口に力をこめている。 「ゆっくりかんねんしてね!!もうにげられないよ!!」 「ひとりじめはやめてね!!それはみんなのごはんだよ!!」 四方から重圧をかけて口を開かせる作戦に出たゆっくりたち。 実際にどうなるかと見ていたが、思いのほか効果的なようだ。 れいむは苦しそうにしながらも耐えているが、その口の隙間からは中身が覗いて見えている。 ここまでくれば、もう結果は見えたようなものだ。 「せーのっ!!それぇ!!」 「ゆ!?!ぶぎゃっ!?!?」 口の中身と共に、自分自身の餡子も吐き出してしまうれいむ。 四方からのゆっくりによる圧力に、れいむの身体が耐え切れなかったらしい。 ところどころ裂けた皮からも餡子を漏らし、びくびくと痙攣しているれいむ。 「ゆっぐぐぐっぎゅぎゅぎゅ……いやあ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ…み゛な゛い゛でえ゛え゛え゛ぇ…!!」 悲痛な叫び声を上げるれいむ。その目の前にいるのは… れいむが吐き出して草原に投げ出された、れいむの子供12匹。 ただし、全員奇形である。 ありすと強制的に交尾させ、その後廃油や毒物を与えていった結果、生まれたものだ。 次に悲鳴を上げたのは、母れいむではなくその周りのゆっくりたちだった。 四方から押さえ込んでいたゆっくりたちは、喚きながら群れへと戻っていく。 「うわっ!!これごはんじゃな゛い゛よ゛!!ぎもぢわ゛る゛い゛!!さわっぢゃっだよ゛!!」 「ゆ……ぎる……づて……いね!!」 口が癒着していてうまく喋れない赤ちゃんれいむ。 その赤ちゃんにちょっと触れただけで、ゆっくりまりさは嫌悪感に声を荒げる。 「ばっちぃよ!!ばっちぃあかちゃんはむこうにいってね!!」 「ゆぎゃ!!れいみゅはうごけないよ!!おねがいだからやさしくちてね!!」 突き飛ばされて転がった赤ちゃんれいむは、生まれつき地面に接する部分が硬化していて、 自由に動くことができない。先天性なので決して治ることは無いだろう。 自力での移動が出来ないので、常に周囲に“丁寧に”助けを求める。 それが、動けない赤ちゃんれいむが誰に教えられるでもなく身に着けた知恵なのだが… 「おねがいだよ!!れいむにやさしくちてんむぶぎゅえ゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇ!!!!!」 「ばっちぃあかちゃんがいるとゆっくりできないよ!!だからゆっくりしんでね!!」 声は嫌悪感いっぱい、だがとても楽しそうな顔をして動けない赤ちゃんれいむの上で どしんどしんと跳ねるゆっくりれいむ。 弾むたびに飛び散る餡子が、先ほどの衝撃で動けずにいる母れいむの顔にかかる。 「れ゛い゛む゛のあがぢゃんにな゛に゛ずる゛の゛お゛お゛ぉぉぉ!!!??」 「ゆぎゃっ!!おがーしゃん!!だじげで!!れいむをだじゅげでぇぇぇぇ!!!」 「ゆっ…ゆっぐりだずげるがらまっででね!!」 全身を駆け巡る激痛に耐えながら、母れいむは這いずって赤ちゃんを助けに向かう。 ゆっくり…だが、確実に母れいむは赤ちゃんれいむへと近づいていく。 でも、その努力は報われなかった。 「だ…だじゅげ……ゆっぐりじだがったよ゛お゛お゛ぉぉぉ……!!」 この言葉を遺して、赤ちゃんは完全にペシャンコに潰れてしまった。 「どぼじで!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」 あと少しのところで、勢いよく餡子を撒き散らす赤ちゃんの身体。 赤ちゃんの衝撃的な最期を目の当たりにして、口から泡を吹きながら震える母れいむ。 そんな哀れな母れいむを尻目に、僕はポケットからバッジを取り出して、 赤ちゃんれいむの息の根を止めた優秀なゆっくりれいむにつけてやった。 胸を張って威張るゆっくりの姿が描かれている、イケイケ(笑)のナウい(笑)バッジだ。 「ゆ!?これなあに!?」 「今から説明するから待っててね」 と言い残して、僕は群れの真ん中に立った。 「みんな!!大事なことを言うから、ゆっくり理解してね!!」 「「「ゆっ!?」」」 パンパンと手を叩くと、群れの全員が僕に注目した。 「ここにはばっちぃ赤ちゃんがいるから、ゆっくり出来ないよね!!」 「そうだね!!きもちわるくてきたないあかちゃんがいるから、ゆっくりできないよ!!」 「そうだそうだ!!きたないあかちゃんはどっかいってね!!」 ふむ、掴みはOK。 「そうだよね!だから、皆で気持ち悪い赤ちゃんを殺しちゃおうね!!」 「ゆぎゅうううぅぅぅ!!?」 僕の発言に顔を真っ青にしたのは、母れいむと言葉を理解できる奇形赤ちゃんゆっくりたち。 一方奇形赤ちゃんの中には、耳が聞こえなかったり精神的におかしかったりという理由で、 言葉を理解できないやつもいるが……そいつらは今の状況すら理解できていない。 「やめで!!ぞんなごどいわないで!!」 抗議の声を上げる母れいむ。ショックの連続で身体が言うことを聞かないのか、まったく動けずにいる。 僕はそんなのお構いなしに説明を続けた。 「赤ちゃんを殺した子にはこのバッジをつけてあげるよ!!」 先ほどバッジをつけてやったれいむを高く掲げて、全員に見えるようにくるっと一回転する。 楽しく説明しているところに「おそらをとんでるみたい!」などと水を差しやがったが、 力をこめて指を食い込ませ、皮を2,3箇所破ったら黙ってくれた。 「バッジをもらった子には、あとでたくさんご飯をあげるからね!!頑張ってゆっくり殺してね!!」 パンっと一発強く手を叩く。 それを合図と認識したゆっくりたちは一斉に奇形赤ちゃんゆっくりたちに襲い掛かった。 「ゆっくりころすよ!!」「ゆっくりしんでね!!」 「いやあああぁぁぁぁぁぁ!!!やめでええええぇぇぇぇぇぇ!!!」 それは、一方的な虐殺だった。 「い゛だい゛!!み゛え゛な゛い゛よ゛!!だれがぞごにい゛る゛の゛!!? やめでやめで!!!みえないのごわ゛い゛!!だれがだじゅげでよおおおおおぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆっくりしね!!きたないあかちゃんはゆっくりしね!!めのないあかちゃんはゆっくりしね!」」 「れいむはばっじをもらうんだよ!!だからあかちゃんはさっさときえてね!!」 目のない赤ちゃんゆっくりを、寄ってたかって嬲り殺しにするゆっくりれいむたち。 「hgるうおおあおおああおあおあおあprごpれおぱぺろpgっろおえぽーーーー!!!!」 「やったね!!これでばっじをもらえるよ!!」 エイリアンのような風貌でエイリアンのような叫び声をあげる赤ちゃんれいむを、 真上からのプレス一撃で仕留めるゆっくりまりさ。 別の場所では、3匹の赤ちゃんれいむが横一列にくっついた奇形赤ちゃんが、虐殺から必死に逃げていた。 「あっちににげるよ!!」「こっちににげるよ!!」「むこうににげるよ!!」 ぐいーん!! 「「「ゆぎゅえ!!どぼちでじゃまずるのおおおぉぉぉ」」」 3匹の逃げる方向がてんでバラバラのため、3方向の力が打ち消しあった結果、 れいむ3兄弟はその場でジャンプをしただけにとどまった。 こんなチャンスを逃すほど、他のゆっくりたちはゆっくりしていない。 「ゆ!!こいつら3人くっついてるよ!!きもちわるいから、みんなできょうりょくしてころそうね!!」 「3人まとめてしんでね!!3人ころせばばっじが3つもらえるよ!!」 いや、僕はそんなこと言ってないけど… 「れいむはころさないでね!!れいむはゆっくりにげっ…ゆゆっ!?」 また別の場所では、虐殺から逃れるべく跳ねて逃げようとする赤ちゃんれいむの姿があった。 しかし、この赤ちゃんは餡子が偏っているために、重心が極端に上のほうにある。 だから… 「ゆぎゃ!!さかさまになっちゃったよ!!だれかゆっくりたすけてね!!」 跳ねたり転がったりしたら最後、上下が逆さまのまま安定してしまって自力では戻れなくなるのだ。 逆さまのまま身を左右に揺らして助けを求める奇形赤ちゃんれいむ。 だが、その声は皮肉にも食に飢えた虐殺者を呼び寄せる結果となってしまった。 「ゆっ!!こんなところにもばっちぃあかちゃんがいるよ!!」 「ほんとだ!!さかさまになっててきもちわるいね!!ゆっくりころそうね!!」 「ゆっぺぎゃああああ;あ;ぁぁぁぁぁ!!!ゆっぐりじだがっだおおおぉぉぉぉ!!!!」 左右から挟み撃ちにされ、圧力に耐え切れず餡子をばら撒きながら絶命した。 それからも、奇形赤ちゃんに対する虐殺は続いた。 目が無いもの、口が無いもの、音が聞こえないもの、楕円球の形をしていて安定しないもの、 目と口の位置が逆のもの、髪の毛の代わりにリボンがたくさん生えているもの… 「もうやめでよ゛ね゛!!れ゛い゛む゛の゛あがぢゃん゛い゛じめ゛な゛い゛で!! あがぢゃんはれ゛い゛ぶがだずげであ゛げるがらね゛っ!!」 やっと体力を回復した母れいむが虐待を止めようとするが… 「ゆっ!!きたないあかちゃんをうんだおかーさんもきたないよ!!」 「そーだそーだ!!きたないあかちゃんをうんだ、きたないおかーさんもゆっくりしね!!」 「きたないおかーさんのせいでゆっくりできないよ!!あのよでゆっくりはんせいしてね!!」 体力が万全でない母れいむは、3匹の嬲り者にされてしまう。 3匹は交代で母れいむに体当たりを仕掛ける。まるでキャッチボールをしているようだ。 「ゆびゃっ!!やべっ!!どぎゅっ!!びぎゃっ!!みゅっぢゃあああああああああああああああ!!!」 皮が破れて饅頭本来の張りを失い、空気の抜けたボールのようになってしまった母れいむ。 母れいむがボールとして役に立たなくなったのを見て、3匹は別の子供を虐殺するべく去っていった。 「そこでゆっくりしんでね!!まりさたちはばっちぃあかちゃんをころしてあげるからね!!」 「やめでっ!!いがっ…ないでっ!!れいぶのっ…あがぢゃん゛!!ごろっ…ざっ…ないでっ!!」 形が崩れてしまった母れいむは、もはや自力で移動することも出来ない。 びくっと痙攣するたびに、全身の傷という傷から餡子をびゅっと吹き出した。 それでも絶命はしていない。母れいむの身体の中には、十分な量の餡子が残っているからだ。 目の前で殺されていく赤ちゃん達。 汚い汚い、気持ち悪い気持ち悪い、と罵られながら無残にも命を奪われていく。 降り注ぐ餡子を浴びて狂喜乱舞する野生のゆっくりたち。 そんなゆっくりたちの中で、特に活躍した12匹に…僕はバッチを与えた。 そして…奇形ゆっくりの悲鳴が聞こえなくなった。 言うまでも無く、それが意味するのはたったひとつの事実である。 僕は奇形ゆっくりの死体を集めさせ、餡子を吹き出しながら震えている母れいむの目の前に積み上げた。 合計12匹のゆっくりの残骸。 僕から見ればただの餡子の山だが、母れいむにとってはかけがえの無い子供たちの亡骸である。 「い、いまだすげであげるがらね゛!!まだまにあ゛う゛がらね゛!!ゆっぐりうごいでね゛!!」 傷が少し回復したのか、母れいむは焦点の定まらない目のまま亡骸の山へと這いずっていく。 奇形児しか産めない身体…そのせいなのか、母性は通常では考えられないほど強いようだ。 「だいじょうぶだよ゛!!みんなまだいぎでるよ゛!!だがらゆっぐりうごいでね゛!!」 餡子の山に自らの身体を擦り付ける母れいむ。 しかし、その山は決して動くことは無い。餡子の山が自力で動くわけが無いのだから。 一度消えた命は元に戻らない。皮をズタズタに切り裂かれて散ったゆっくりなら尚更だ。 「いますぐあんこをもどぜばなおるがらね゛!!はやぐげんぎになっでね゛!!」 そう言って餡子を口に含んで子供の皮に戻そうとするが…その皮が見当たらない。 当たり前だ、さっきの虐殺でほとんどの赤ちゃんの皮はバラバラに飛び散ったのだから。 一方周りのゆっくり達は、気が狂った母れいむなどまったく気にせずゆっくりしている。 「ゆ゛!!ゆっぐりしてないでてつだってよね゛!!はやぐじないどておぐれになるよ゛!!」 その言葉が、周りのゆっくりの怒りに触れたのだろう。 バッジをつけたゆっくりまりさが前に出て、母れいむを突き飛ばした。 「ゆぎゅ!!なにずるの゛!?あがぢゃんをだずげるんだがらじゃまじないで!!」 「きたなくてきもちわるいあかちゃんはみんなしんだよ!! みんなできょうりょくしてころしてあげたんだから、ゆっくりかんしゃしてね!!」 そう言って、ふふんと胸を張るまりさ。バッジがきらりと光った。 汚いゆっくりを殺して、ご飯までもらえる。一石二鳥だ、とでも思っているのだろう。 だが、その言葉は母れいむには届かなかった。 「ゆ゛!!みんなてつだっでぐれないけど、おがーざんがたずげであげるがらね゛!! げんぎになっだら゛いっじょにおうたをうたおうね゛!!おがーざんがおじえであげるがら゛!!」 身体を擦り付ける、その動作を止めた母れいむ。 僕はそんな母れいむにゆっくりと歩み寄る… 「いい゛?ごううたうんだよ゛!! ゆっゆっゆ゛~!!ゆ゛ゆ゛ゆっゆ~!ゆ゛ーゆーゆ゛ーゆっゆ゛ー!!ぶぎゅえっあ゛!!??」 耳障りな歌は途中で途絶えた。 僕の拳が母れいむを押しつぶし、盛大に餡子をばら撒いて絶命したからだ。 別に母れいむを哀れんだわけではない。ここまで壊れるともう楽しめないから、消しただけだ。 あと…母れいむの歌が聞くに堪えなかった、というのもある。歌唱力的な意味で。 「さて、バッジをつけてる人はお兄さんの周りに集まってね!!」 大声で呼びかけると、期待に胸を膨らませた12匹が一瞬で集まってきた。 散々待たされたけど、ついにご飯がもらえる。いったいどれだけ貰えるんだろう! 口には出さないが、表情にはそう書いてある。 でも、その期待は…残念ながら現実にはならないんだ。 「この12人は頑張って汚い赤ちゃんを殺した、とても………悪いゆっくりだよ!!」 「ゆゆっ!?なにをいってるの!?」「ゆっくりせつめいしてね!!」 うろたえるのは当然12匹のバッジをつけたゆっくりたちだ。 汚いゆっくりを頑張って殺したのだから、きっと褒められるに違いない…と思っていたのだろう。 混乱していて状況を理解できない周りのゆっくりに向けて、僕はさらに説明を続ける。 「バッジをつけたゆっくりはとても悪いゆっくりだよ!!そんなゆっくりとはゆっくりできないよね!!」 「いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!!どおじでぞんなごどいうのおおおぉぉぉぉぉぉ!!!」 自分の存在意義を否定され、涙する12匹。 自力でバッジを取ろうとするが、しっかり固定されていてゆっくりの力では絶対に外せない。 周りのゆっくりは、僕の言葉に無言で耳を傾けている。 バッジをもらったゆっくりに対する嫉妬は、もう消えうせていた。 そして… 「“ニセモノ”のバッジをつけてる、この悪いゆっくりを皆で協力して殺してね!! 頑張って殺した人には、ホンモノの“バッジ”をあげるよ!!ご飯がたくさん食べられるよ!!」 「ゆっぐりいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「ばっじほしいよ!!わるいゆっくりはゆっくりしんでね!!」 「わるいゆっくりをころして、ばっじをもらうよ!!わるいまりさはゆっくりしね!!」 そして再び始まる、一方的な虐殺。 僕はゆっくりの殺し合いを、ゆっくりと眺めることにした。 「ゆっぐりじだがっだよお゛お゛お゛お゛お゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 あとがき 「ごはんたくさんあげるから、仲間を殺してね」 ってだけだとよっぽど空腹じゃない限り同属殺しはしないと思った! でも奇形ゆっくりと悪い(と思い込ませた)ゆっくりだと、ついつい殺しちゃうんだ! 自分がいいことをしてるっていう免罪符に似た思い込みがあるからね!! それにしても、これがぬるいと思っちゃう俺は末期だね!! 作:避妊ありすの人 このSSに感想を付ける